32.ギルドへの報告
「おはようございます! もうギルド前ですよ!」
「早く起きなさい! もうっ……寝過ぎ!」
「んん……ああ? もうついたのか」
俺はぐっと伸びをして起き上がる。
どうやらギルドについたらしい。
「ギルドに達成したことを報告して、その後国王様にも」
「早速だな。少し休みたいところだが……まあ国王様に報告してからでもいいか」
俺は馬車から飛び降りて、ギルドの中に入る。
相変わらずギルド内は騒がしく、様々な冒険者が行き交っている。
受付嬢の方まで歩き、今回の依頼が無事達成できたことを報告することにした。
「お疲れ様です! レッドル公爵様からも聞いていますよ! リッター様が大活躍だったとか!」
「え、俺のことを言っていたんですか? マジか……」
「さすがじゃない! リッターはもう人気者ね!」
「さすがリッター様です! わたしたちパーティの看板ですね!」
「やめてくれよ……俺はそこまで目立つような人間じゃないんだ」
俺は苦笑しながら答える。
ともあれ、俺の名前を挙げてくれるのは嬉しいことだ。
こんな俺でも誰かの役に立てたことが嬉しい。
まあ……イダトには負けるだろうが。
結局は外れスキルだし。
「他にもレッドル公爵様から聞いたのですが……国王様に情報を提供するだとか……すごいですね!」
受付嬢さんは満面の笑みで言う。
どうやら受付嬢さんにもその情報は伝わっていたらしい。
それもそうか。さすがにギルドには情報は行くよな。
「ええ。私もびっくりなのですが、私たちが国王様に直接状況を説明することになりまして……!」
「出世しましたね! ギルドとしても嬉しいです!」
そう言われて、アンナたちは照れくさそうに笑う。
「まあ失礼のないようにしようぜ。なんていうか……俺の不釣り合い感は否めないけどな」
「全然そんなことないです! リッター様の実力は本物なんですから自信を持ってください!」
「ははは……そう言ってくれるのは二人だけだよ」
俺がしみじみと答えると、受付嬢さんが手を挙げる。
「当方ギルドもリッター様に強く信頼を寄せていますよ!」
「どうやら私たちだけじゃないっぽいわね」
「いいのかって感じだけど……ありがとう。俺も頑張るよ」
こんだけ応援してくれたら、俺も頑張ろうって思える。
結果も少しは出てきたし、自信を持ってもいいかもしれないな。
「さて。国王様の件ですが、レッドル公爵様から既に連絡は行っているようです! 早速宮廷に向かわれてはいかがですか?」
「そうね。早速行きましょうか!」
「頑張りましょう! わたしたちならできます!」
「俺も緊張するけど、頑張るよ」
外れスキル持ちの俺が、まさか国王様に挨拶することになるなんてな。




