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【書籍化】外れスキル《ショートカットコマンド》で異世界最強〜実家を追放されたけど、俺だけスキルの真価を理解しているので新天地で成り上がる〜  作者: 夜分長文
第一部三章

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27.アグ

「せっかくキメラを用意してやったのに、まさか討伐されるなんてな。残念だ」


 男は嘆息しながら頭を掻く。


 己が持つ角に触れ、俺たちの方を見てきた。


「アンナ……あいつ知ってるか?」


「……魔人族よ」


 魔人族だって?


 つまり俺たちの敵ってことか。


 俺はふうと息を吐いて、魔法を放つ準備をする。


 いつだって戦える。


「まあ待て。別に今回は戦いに来たわけじゃない。挨拶だ」


 そう言いながら、魔人族はにやりと笑う。


「オレはアグ。お前たちの想像通り魔人族だ」


 アグと名乗った男は近くにあった木に背中を預けた。


 ケラケラと笑いながら、俺たちを見る。


「で、あなたの目的はなんなの。どうして人間に攻撃をするの」


「目的だぁ? そんなの決まってるだろ。復讐だよ」


「復讐……? 一体どうして?」


 アンナが尋ねると、男は答える。


「復讐に意味なんかねえよ。ただ、殺したいんだ。人間をぶっ殺して、魔人族は更に上を目指す。まあまずはお前ら王国を滅ぼすことだ」


「なんだよそれ……最悪じゃねえか」


「最悪だぁ? 最高と言えよ」


 こいつは何を言っているんだ。


 俺には……到底理解できない。


 復讐がなんだかは知らない。


 人間が何をしたのかなんて知らない。


 だからといって、無実の人間を殺そうとするなんて決して許されないことだ。


「ま、そういうことだ。末永くよろしくな。人間さんよ」


「リッター。攻撃して」


「もちろんだ。《ブリザド》」


 俺は隙を一切見せることなく、魔法を相手にぶち込む。


 被害がこれ以上出る前に仕留めなければ。


「おっと。残念でした。それじゃあな」


 しかし、俺の魔法は当たることなくアグをすり抜けた。


 そして彼は静かに、闇の中に消えた。


 一体どういう原理かは分からないが、どうやら逃げられてしまったらしい。


 俺は嘆息しながら、アンナに声をかける。


「逃げられたな」


「仕方ないわ。とりあえず、名前を知れただけ良いとしましょう」


「そうですね。ひとまず依頼は達成ですから、いったん喜びましょう!」


「そうだな」


 俺は頷き、拳を突き上げる。


 色々あったが依頼は達成だ。


 キメラとかいう厄介な魔物を見たときはどうなるかと思ったが、討伐はできた。


 ひとまずこれを喜ぶべきだ。


「やっぱりリッター様の実力はいつ見ても痺れますね。ね、アンナさん!」


「そうね。リッターを見ているとゾクゾクしちゃう」


「ゾクゾクってなに!? なんか怖いんだけど!?」


 ゾクゾクの意味が分からず、俺は俺でゾワゾワしてしまう。


 なんか危機感を覚えてしまうんだけど。


「いったん帰って報告しましょ!」


「帰還~!」


「そうだな。帰還だ」


 俺たちは大きく息を吐いてから、レッドル公爵領へと歩き出した。

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