24.依頼の詳細
「しかしすまないね! わざわざ王都から離れた領地まで来てもらって」
「いえ、お気になさらず! ほら、仕事じゃないですか!」
「はははそうだな! アンナさんは上手いことを言う! そう仕事だ! 気を使うことなんて一切ない!」
そう言いながら、レッドル公爵はガハハと笑う。
この人はなんていうか、豪快な方だ。
貴族っていうのはプライドの高い人間が多いイメージがあったが、こんな人もいるんだな。
レッドル公爵のような人が増えたら、もう少し生きやすくなるのに。
「さて、仕事の話だな! 今回君たちに頼みたい依頼というのが、キメラの討伐だ」
「キメラ……ですか? 合成獣がどうしてこんなところに……」
「ごめん。キメラってなんだ?」
合成獣ってなんだろうか。
聞いた感じ、何かを組み合わせたようなものなのだろうが。
「キメラっていうのは、一つの体に色々な魔物や種族の特徴がある魔物よ。大体は自然発生しなくて、人為的なものが多かったりするの」
「人為的なもの……ってことは誰かが作ったってことなのか?」
「そうだ! もちろん大方、魔人族の仕業だと睨んでいる。君たちも話は聞いているだろう?」
その問いに、俺たちは深く頷く。
となるとキメラは魔人族によって作り出された魔物ってことなのか。
……なんだか嫌な感じだな。
生命を弄んでいるような気持ちがする。
「ともあれ、君たちにはキメラの討伐を任せたい。現時点で市民に被害は出ないよう兵士たちが頑張っているが、怪我人が多く出ている。これ以上は……死者が出るかもしれない」
「私たちに任せてください。即刻キメラを討伐し、兵士たちが休めるよう尽力します」
そう言いながら、アンナが俺のことを見てウィンクをする。
「それに、リッターが私たちにはいますしね」
「ですです! わたしたちにはリッター様がいるのですから!」
「待て待て。俺にあまり期待するなよ」
俺は慌てて訂正しようとするが、二人はくすりと笑うだけ。
「確かにそうだな! 私たちにはリッターさんが付いている! 期待しているぞ!」
「レッドル公爵まで……」
どうやら俺に逃げ場はないらしい。
でも期待されるのは嬉しいことだ。
俺なんて外れスキル持ちの無能だって言われていたくらいなんだから。
「場所は公爵領東の森だ。目的地まで兵士に案内させよう」
「ありがとうございます! よろしくお願いいたします!」
俺たちはレッドル公爵に頭を下げた後、お互いに視線を合わせて覚悟を決めた。
相手は恐らくかなり手強い。
だけど……兵士たちが頑張っているんだ。
俺たちが助けないと。
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