20.新たな依頼
「なんだかすごく眠そう……大丈夫?」
「大丈夫だ……クソ眠いけど、なんならすごく最高な気分だ」
「本当に……?」
結局俺は一睡もできなかった。
それもそうで、俺には女の子の隣で寝て爆睡できるほどの精神力はない。
だけど今……すごく幸せな気分だ。
前世ではこんなシチュ、全くなかったからなぁ……。
「すごく眠そうですね……コーヒー頼みますか?」
「そうするよ。ありがとうエイラ」
俺たちは朝からギルドまでやってきていた。
昨日は全く気がつかなかったが、どうやらこのギルドの中には喫茶店も入っているらしい。
なのでギルドに立ち寄るついでにモーニングを食べていた。
「眠そうなところ申し訳ないんだけど、早速私たちに依頼が届いているの」
そう言って、アンナが依頼書を机の上に広げる。
俺は眠い目をこすりながら依頼書を眺めた。
「レッドル公爵からか……って公爵!? 公爵ってすげえな!?」
思わず驚いてしまう。
俺はあまり頭がいいわけじゃないから分からないが、確か公爵って貴族の中でも偉い方だったよな。
さすがはSランク冒険者に入ってくる依頼は違うな……。
「びっくりです……! 公爵から依頼が来るなんて珍しいですね!」
「うん。まあ今回の依頼はギルド側が私たちに回したものらしいけどね」
「んん? ギルド側が? 一体どうして」
尋ねると、アンナがぴんと指を立てる。
「ほら、昨日受付嬢さんが魔人族の警戒に当たってほしいって言ってでしょ。どうやら魔人族関連らしいの」
魔人族関連か。
だから俺たちに回ってきたんだな。
どこか納得しつつ、依頼書の内容を見る。
「詳細は挨拶後説明する……か」
「さすがは公爵よね。すごく慎重な人っぽい」
挨拶をするまで依頼の内容を言わないってのは、なかなかないことだと思う。
まあ俺たちの方からしても、依頼者から直接状況を聞けるのはありがたいことには変わりない。
「でも、どうやらすごく大変なことになってるとは軽く聞いたわ。急ぎで向かおっか」
「そうですね! ……でもリッター様が本当に眠そうですけど大丈夫です?」
「俺は大丈夫だ……眠たいのには変わりないけど」
「わたしのお膝貸してあげましょうか? 少し休んでからいきます?」
「ありがとうエイラ……エイラ!?」
お膝を貸してくれるって今言ったか!?
それってつまり……あれだよな?
膝枕ってことだよな!?
なんて魅力的な提案なんだ……今すぐにでも甘えたい……。
「もう、エイラは甘いんだから。お膝を貸すのはいいけど、終わってからね」
「ええ! アンナ!」
「わがままいわないの! それに……ずるいし」
「ず、ずる……? なんて?」
「いいから! 行くわよ!」
何かアンナが言ったような気もするが、確認する間もなく俺は無理矢理立ち上がらされた。
膝枕は恋しいが、今は依頼に集中するべきだな。
よし俺、超頑張るぞ。
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