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2.コマンドオープン

「よし、《ファイア》の記憶完了っと」


 なんやかんやで捨てられることなく、無事育った俺は十五歳を迎えた。


 異世界の勝手も分かってきたんだけど……俺は案の定家族の中では疎ましく思われていた。


 この世界は生まれた時にするスキル鑑定の儀式で将来の運命が決まってしまうらしい。


 安定なのが《剣聖》や《勇者》。俺の双子の兄であるイダトが引き当てていたものだ。


 これを引き当てれば将来は安泰と言われている。


 だけど外れスキルと呼ばれる物を引き当ててしまうと、色々と苦労してしまうらしい。


 特にアルタール家――どうやら伯爵の地位を持つ貴族の家らしいのだが、特に嫌われていた。


「リッター! お前は相変わらず変なことをしているな!」


「なんだよイダト兄さん……また馬鹿にしにきたんですか?」


「おいおい、馬鹿にしているわけじゃないぜ? 可哀想な弟を哀れみの目で見に来ただけだ!」


 んで、イダト兄さんは《剣聖》を引いたから家族によしよしされて育ってきた。


 自分が弟である俺より優れているのは分かっているから、こうしていつも馬鹿にしてくる。


 全く……この人は俺ばっかりに構って暇なのか?


「僕がお前に当たりスキルの実力を見せてあげようか? 僕が持つ《剣聖》のスキルの力を!」


「大丈夫です、今忙しいので。コマンドオープン」


 実際忙しいのは事実だ。


 俺が手を目の前にやると、空中にゲームのようなコマンドが表示される。


 ――――――――――――――――――――――

 《ファイア》を魔導書から記憶しました。

 

 あなたが使用できるショートカットコマンド一覧

 ・《ヒール》

 ・《ブリザド》

 ・《ファイア》NEW!

 ――――――――――――――――――――――


 よし、俺のスキルは無事機能しているらしい。


 俺のスキルはどうやら魔法を記憶し『無詠唱』で発動するというもの。


 実戦では扱ったことがないから未知数だけど、この世界は詠唱が基本なので少しは強い……と思う。


 今はこれだけしか使えないが、もっと魔術書が手に入るともっと魔法が使えるようになるはずだ。


「僕の話を無視してなんで魔術書なんか見てんだよ! 寄越せ無能がぁ!」


「あっ……」


 そう言って、イダト兄さんが俺の持っている魔術書を奪ってきた。


 これ……やっと手に入った魔術書だったのに。


 俺には家族がこういうの買い与えてくれないからな。


「まあいい。リッター、お前に父上から話があるらしい。こっちに来い」


「え? 父上が俺に? 珍しいですね」


 父上は、というか両親は俺に無関心だ。


 やっぱり外れスキルを持っている俺には興味がないらしい。


 そんな感じなのに、一体どんな話なんだろう。


 だけど、俺に待っていたのはあまりいい話題ではなかった。


 ◆


「リッター、お前をアルタール家から追放処分とする。さっさと出て行け」


「え……父上? 本気で言っているのですか?」


「父上と言う名で呼ぶな。お前はもう家族ではない、呼ぶならアルタール伯爵と呼べ」

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