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【書籍化】外れスキル《ショートカットコマンド》で異世界最強〜実家を追放されたけど、俺だけスキルの真価を理解しているので新天地で成り上がる〜  作者: 夜分長文
第一部二章

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12.回復魔法

「ここだ! 仲間が怪我しているんだ……助けてくれ……!」


 声がした方に向かっていると、一人の男の姿が見えた。


 こちらを見つけた瞬間、安心したような表情を浮かべて手を振っている。


「エイラ! リッター!」


「分かってる!」


「もちろんです!」


 俺たちは慌てて茂みの中に入っていき、男と合流する。


 そこには、男の他にも二人の男女の姿があった。


 命に別状はなさそうだが、怪我が少し酷いな。


 これじゃあここから動くことも難しいだろう。


「……っ」


「足が……いてえ……」


「無理はしないようにしてください。俺が今治します」


 そう言うと、エイラは驚きの目を向ける。


「リッター様って回復魔法も使えるのですか!?」


「ああ。実家にいる頃、どうにか魔導書を手に入れてな」


「あの……普通、攻撃魔法が得意な人は回復魔法が苦手だったりするのですが……」


「そうなのか? 気にしたことなかったな」


「……リッター様には常識が通用しないことが分かりました。とりあえず治療しましょう!」


 俺は頷き、《ヒール》を発動する。


「す、すごい……! 傷がどんどん治っていくぞ!?」


 全員の傷を魔法で治す。


 実際に他人に《ヒール》を使ったのは初めてだったから少し緊張したけど、どうやら効果はあったらしい。


 まあ俺がイダトにいじめられてよく怪我をしちゃってて、それを治すのに使っていたから効果は分かっていたんだけど。


 無事治療が完了し、ふうと息を吐いて立ち上がる。


 すると男が動揺しながら声をかけてきた。


「今の魔法はなんだったんだ!? あんなの見たことないぞ!?」


「ただの《ヒール》ですよ。特に変わった魔法じゃないので安心してください」


 恐らく俺が無詠唱で発動したから、何か変な魔法とでも思われたのだろう。


「……ただの《ヒール》なのか!? と、とにかくありがとう! 感謝させてくれ!」


 そう言って、男が頭を何度も下げてくる。


「いえいえ。気にしないでください」


 俺は慌てて頭を下げさせるのを止めようとするが、男は何度も感謝の言葉を発した。


 ここまで人間に感謝されたことがなかったから、少し変な気分だ。


 嬉しい……な。


 こんな俺でも役に立てたんだ。


 前世では、誰かの役に立つどころかお荷物でしかなかったのに。


「――リッター! エイラ!」


 なんてことを考えていると、アンナが声を上げる。


 ちらりと見ると、腰に下げている剣を引き抜いて戦闘態勢に入っていた。


「……オーガです! 戦闘準備を!」


「マジか……! 皆さんは俺たちに任せて一度逃げてください!」


 そう言うと、冒険者たちは急いでその場から逃げていく。


「ははは……オーガなんて初めて見たんだけど、デカいな」


 俺は、目の前に現れた巨体――オーガを眺めて苦笑した。

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