108.『賢者のパズル』
「まさか国王様に呼び出されるなんて……! これはもしかしなくても……あるかも!」
「ワンチャンどころか、国家直属冒険者になれる可能性大では!?」
宮廷へと続く道を歩きながら、二人がわいわいと騒いでいた。
イダトはというと、治療後拘束して宮廷へと受け渡した。
色々大変なことにはなると思うが、あいつにはしっかり反省してもらわないといけない。
それで、国家にこれまで合ったことを全て話した結果、お礼がしたいと国王自ら俺たちを宮廷へ呼び出したのだ。
アンナたちの夢が国家直属の冒険者になることだから、そりゃもう大騒ぎである。
全く、一番落ち着いているのが俺ってどういうことだよ。
「落ち着けって。行ってみたらすぐに分かるさ」
でも……本当によかった。
王都の各所がアグたちによって爆破されたが、奇跡的に死者は出なかったようだ。
復興にはまだ時間はかかるだろうが、まあなんとかなるだろう。
「そろそろだな。んじゃ、行こうぜ」
宮廷が見えてきたと同時に、俺は二人に向かって声をかけた。
◆
「お主たちには本当に感謝しておる。死者が出なかったのも、全てお主たちのおかげだ」
王の間にて。
俺たちは膝をついて、国王様の声に耳を傾けていた。
なんだかいつもよりも緊張してしまっているような気がする。
「リッター、アンナ、エイラ。お主たちは我々のヒーローだ。頭をいくら下げても足りない」
そう言って、国王様が頭を下げようとする。
「あ……そこまで……!」
俺は慌てて止めようとするが、国王様は深々と頭を下げた。
あはは……恐れ多いな……。
「して……お主たちには褒美をあげなくてはならないな」
国王様がそう言うと、アンナたちがあからさまに目を輝かせた。
褒美か……やはり直属の冒険者に任命するとかそんな感じなのかな?
でも、アンナたちの夢が叶うなら俺は嬉しい。
俺が入った理由も二人の夢を叶えるためだしな。
「お主たちの褒美はこれだ」
「え……?」
「ん……?」
「むむむ……?」
しかし、想像していたものとは百八十度違った。
国王様が手に持っているのは――ただの石だ。
でも……あれはイダトが持っていたものと似ているような。
なんて思っていると、国王様が答えを出す。
「これは『賢者のパズル』――その一欠片だ。リッターなら気がついていると思うが、これはイダトから回収したものである」
「賢者の……パズル……?」
あの石に名前があるのか?
だけど、どうして石が褒美になるんだろう。
「『賢者のパズル』。これは過去に存在した賢者が生み出したものであり、一欠片でも所持しているだけで強大な力を発揮することができるものだ」
「……だからイダトが」
イダトが強大な力を操っていたことに納得がいく。
普通ならありえないものだった。
短期間では絶対に到達できない領域の魔法を操っていたのだ。
これが賢者のパズルがもたらしていたもの……だとすると理解できる。
「ここからが本題だ。お主たちに頼みたいことがある」
そう言って、国王様が俺に賢者のパズルを手渡す。
「『賢者のパズルの回収、もとい完成』を目指して欲しい」
「か、回収……ですか?」
「ああ。実のところ……過去の戦争により、世界各地に賢者のパズルが散らばり、そして各地の力ある者が持っていると推測されている」
国王様は続ける。
「このアイテムを知っている人間は一部しかいないため、決して表には出ていない。だがこの事実を知っている者、あるいは知らなくても無自覚に使っている者が悪事を働いている。今回の……アグにも繋がってくるのだがな」
なるほどな。
アグはつまり、賢者のパズルと理解してイダトに渡していたってことか。
しかし……こんなものが存在するだなんてな。
「つまり、お主たちには賢者のパズルによる悪事の阻止。そして奪還を目指して欲しい。頼まれてくれるな?」
そう言って、国王様は俺たちに視線を向ける。
ははは……なんていうか、想像した褒美とは全く違ったけれど。
しかし断るわけにもいかない。
実際にアグやイダトのような者が各地にいるとなると、それはもう大問題である。
国王様は俺たちを強く信頼して頼んだのだ。
俺たちはその期待に応える必要がある。
「分かりました。任せてください」
「もちろんやります!」
「やります!」
そう言うと、国王様は満足気に笑う。
「ありがとう。本当に頼もしいことだ。期待しておるぞ、三人とも」
◆
「なんか違ったねー……国家直属の冒険者になれると思っていたんだけど……」
「ですねー……でも、すごいことを任されちゃいました……!」
「ああ。責任重大だぜ本当に」
世界各地に散らばった賢者のパズルの回収……それはもう想像するだけで頭がクラクラしそうなものだ。
だけど、実際にもう被害は出ていると思う。
イダトのような力を持った者がいると考えるだけで恐ろしい。
そこにいる人間はもう従うしかないだろう。
「これから俺たちの冒険は……国家だけじゃない、世界だ! ははは……なんつうか、これからもよろしくな。アンナ、エイラ」
俺が苦笑しながら言うと、二人がぎゅっと手を握ってきた。
「当たり前じゃん! これからもずっと私たちは一緒だよ!」
「そうです! 永遠に! 永久にですよ!」
アンナたちからの強い信頼を感じる。
……嬉しいな。
前世の俺がこの光景を見たらなんて言うだろうか。
きっと夢でも見ているんじゃないかって思うんじゃないかな。
実際、今の俺でもなんだか夢を見ているようで、どこかふわふわとしている。
でも……嬉しい。
これからも頑張ろうって思える。
「国家直属の冒険者目指して――そして世界の平和を守るため!」
「わたしたちはこれからも戦いますよ!」
「……ああ! もちろんだ!」
そう言って、俺たちは拳を突き上げた。
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