101.応用
「やってみろよ、リッターさんさぁ? 勝つんだろ? オレに」
「ああ……覚悟はできている!」
俺は一呼吸置き、手のひらを前に突き出す。
集中――集中しろ。
「《聖者の剣》」
そう言って、俺は剣を魔法陣から取り出す。
これでアグと渡り合えるかどうかは未知数ではあるが、大鎌に対して剣を持つのは妥当であろう。
魔法が使えるとはいえ、素手で戦うには少し不利すぎる。
「いい剣だなぁ。確か前にも見たっけか?」
アグは大鎌を振るい、にやりと笑う。
「ああ。お前には使ったことないけどな」
「いいじゃんいいじゃん。強くなったねぇリッターさんはよぉ。オレもテンション上がっちゃうわ」
飄々とした態度で肩を揺らす――刹那。
アグの体が一瞬にして消えた。
「っ――!?」
だが、すぐに理解する。
消えたんじゃない。一瞬で俺の懐まで距離を詰めてきたんだ。
俺の首筋を刈り取ろうとする大鎌に対し、俺は咄嗟に剣を振るう。
鈍い音とともに衝撃で髪が揺れる。
どうにか防ぐことには成功した……が、パワーでこちらが負けているのは分かる。
剣を持つ手がアグの力に負けて震えていた。
「はぁぁぁぁっ!!」
力負けはしているが、必死の思いで相手の武器を弾く。
くっそ……こんなことになるなら強化魔法の一つくらいは覚えておいた方がよかったかもしれない。
「ははは! そんなものかぁ? リッターさん?」
だけど、考えがないわけではない。
人間というものは知恵を振り絞って戦うものだ。
自分が持ち合わせている駒で戦うしかない。
「試してみるか……前から気になっていたことがあるんだ……」
「ああ? なんだぁ? 負けそうになっていよいよ変なことを言い出したなぁ?」
「簡単なことだ……応用だよ……魔法を少し変わった使い方をするんだ……」
簡単なことだけど、今まで魔法の応用はしてこなかった。
俺は転生したとはいえ、心は引きこもり時代と同じだ。
新しいことに、未知のことに挑戦するのが怖い。
だからしてこなかった……けれど、今はそんなことを言っている場合じゃない。
「《雷電》」
俺がそう唱えると、雷鳴が周囲に轟く。
こいつはあくまでイカズチの上位魔法――だから、相手に強力な攻撃を与えるというものだろう。
そして、それは予想通りだった。
「なんだよそれ! 《絶対零度》が効かなかったんだから、そいつが効くわけねえじゃないか!」
アグは嘲笑する。
だけど――これを応用する。
【夜分からのお願いです】
・面白い!
・続きが読みたい!
・更新応援してる!
と、少しでも思ってくださった方は、
【広告下の☆☆☆☆☆をタップして★★★★★にしていただけると嬉しいです!】
皆様の応援が夜分の原動力になります!
何卒よろしくお願いします!




