10.僕が最悪な人間……?(イダト視点)
第一章完結!!
「ふはははは! リッターの野郎がいなくなってすっきりしたぜ! やっぱ無能が家にいると余計なことを考えてしまうからな!」
イダトは自分の部屋でリッターがいなくなったのを心の底から喜んでいた。
もう自分のお荷物はいない。これからはもっと自分中心に活動することができる。
イダトはくつくつと笑いながらぐっと伸びをする。
さて、あいつがいなくなった記念で何か飯でも食うか。
そう思った彼は部屋を出て、適当な召使いを探す。
「あ、いたいた。おいお前、僕は腹が減ったんだ! 適当に飯でも作ってくれないか?」
そう伝えるが、召使いはあまりいい表情をしない。
何か嫌なものを見てしまったような目で、こちらを睨んできた。
「……はぁ。なんだその反抗的な態度は? 僕の一言でお前をクビにすることだってできるんだぞ?」
イダトは一切躊躇することなく相手を脅す。
するするとそんな言葉が出てくるあたり、普段の彼がどういう人物なのかは簡単に察することができた。
召使いは渋々といった表情を浮かべて、静かに頷く。
だが。
「リッター様は出て行かれたのですか?」
そんな疑問を投げかけてきた。
どうやら、リッターを追放した話はもう召使いたちに伝わっていたようだ。
ならば都合がいい。自分がアルタール家の一人息子であり、この家の次期当主であることをしっかり言っておくか。
と考えていたのだが。
「リッター様は外れスキル所持者でしたが、あなたと違ってとても素晴らしい方でした。そんな方が追放されるだなんて、この家も終わりかもしれませんね」
「ああ!? なんだてめえ!! もう一回言ってみろ!」
突然召使いがそんなことを言うので、イダトは動揺してしまう。
思わず胸ぐらを掴んで叫んでしまうほどに。
だが、召使いは追い打ちをかけるように言い放つ。
「すぐ暴力に走る性格の破綻具合。それが最悪だと言っているのですよ」
「は、はぁ!?」
自分が終わっている?
そんなわけがないだろう! 自分は《剣聖》を引き当てた才能ある人間なんだ!
「他の召使いも同じことを思っています。ご飯は調理いたしますが……まあせいぜい人間がこの家から抜けないように努力した方がいいですよ」
召使いは言い放って、イダトの手を振り払う。
こいつは一体何を言っているんだ……? 他の人間も同じことを思っている?
それに言い方的に、まるでこれから多くの人間がこの家を抜けていくようなことを……。
そんなまさか!
自分は優れた人間なのだ。
こんなにも優れた人間の下から退こうとする馬鹿なんていないはずだ。
「それでは」
「お、おい!」
そんな思考を脳内で巡らすが、イダトは何も反論できずにただ佇んでいた。
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