1.転生したけど外れスキル持ちらしい
(俺……何やってたんだっけ? それにここは……)
目が覚めると、俺は知らない天井を見上げていた。
俺は確か実家で自宅警備員をしながらゲームをしていたはずなんだけど……。
まるでファンタジーゲームみたいな内装をしている部屋だ。
なんていうか、色々と絢爛で日本の家屋とは乖離している。
(なんだこれ。声も出ないぞ)
声を出そうとするが、息が漏れ出るだけで何も言えない。
「神官様、私たちの息子リッターのスキルは? きっととんでもないスキルを持っているのでしょう?」
「当たり前だろ! この子は我がアルタール家の息子なんだ。きっと同じ《剣聖》のスキルを手に入れるはずだ!」
この人たちは誰だろう。俺のことを息子リッターって……俺はこんなファンタジーな服を着た両親なんて持っていないんだけど。
俺はどうにか体を横に動かす。
(……え? なんだこれ? 赤……ちゃん?)
たまたまあった鏡に俺の姿が映っていた。
そこには、小さな手を頑張って動かしている赤ちゃん――もとい俺の姿があった。
(もしかして俺、転生したのか?)
状況があまり理解できないが、このようなシチュエーションは漫画で見たことある。
ということは俺は現実で死んだのか?
思い出せないが、あんな惨めな状況で死んじまったのか。
家に引きこもってゲームだけして。まあ家族は俺が死んで少しは楽になれたことだろう。
……でも、少しは家族に恩を返したかったな。
もっと、頑張りたかった。
(よし。今世では精一杯頑張ろう。後悔しない人生を送るのが第一の目標だな)
俺は心の中で決心し、ふうと息を吐く。
とりあえず第一は家族のことを知ることだ。
まだ赤ちゃんだから自分の名前がリッターということしか何も分からないけど、これからゆっくりと――。
「この子のスキルは《ショートカットコマンド》です。大変言いにくいのですが……恐らく外れスキルかと……」
ふと神官様と呼ばれていた人が俺のことを可哀想な目で見てくる。
それに外れスキル……って言ったか?
俺のことで合っているんだよな……?
「……あなた。この子はもうダメですね」
「ああ。期待していたのに外れだな」
あれ? 待って待って?
俺これから家族のことを知ろうって思ってたのに、早速ゴミみたいな目で見られているんだけど。
もしかして捨てられる?
俺は慌てるが、声も出ないから何もできない。
「神官、双子のもう一人の方。イダトの方はどうなんだ?」
「そうです! イダトの方は!?」
イダト……?
俺は隣を見ると、もう一人赤子がいた。
なんかこっちを見てニヤついてやがる。
「……! イダト様の方が《剣聖》です! さすがですね!」
「本当か! さすがは私の息子だ!」
「よかった! あなたこそが私の息子よ!」
イダトと呼ばれた方は両親にちやほやされていた。
……なんていうか、俺この世界でも苦労しそうだな。
だけど、この時の俺は自分のスキルをあまり理解していなかった。
まさか色々試してみたらぶっ壊れすぎるチートだったなんて。
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