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M五 修学旅行
季節は巡り、夏を挟んで秋になっていた。
「じゃあ、今からバスの座席を決めるぞ」
二週間後にせまった修学旅行。
(自由行動はやっぱり美夏と行きたいなぁ)
麻梨子はボーっと旅行の事を考えていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そして迎えた修学旅行当日。
「私、京都は初めて。麻梨子は?」
クラスは違うが、なんとか自由行動を共にしている水野美夏が言った。
「私も京都は初めて」
「京都は、か…」
「え?」
「ううん。ね、まずはどこへ行く?」
「そうね…」
二人は手に持っていた観光用の簡易地図を広げて京都見学の予定を立てはじめた。
「久しぶりだね、朝倉ちゃん」
少しして二人の背後から男が声を掛けてきた。
(ゲ!)
その声を聴いた水野は全身に虫唾が走るのを感じた。振り返って確認するまでもなくその声の主が特定できた。特定できたからこそ振り返ってまで確認したくなかった。
しかし、放っておいてどうにかなるものでもないので思い切って振り返ると、麻梨子も同時に振り返った。振り返った目線の先には予想通り極悪プレイボーイ高山学が立っていた。