M二七 充実感
「ただいま~」
家の玄関を開けると同時に麻梨子は言った。
色々な想い、色々な事があったが永かった切ない日々から開放された麻梨子の心中は自身でもビックリするほど清々しい。
「舞衣?」
言いながら電気が点いているリビングに入っていった。
「あっおかえり、お姉ちゃん」
「夕飯。まだ残ってる?」
「あるけど、食べて来なかったの?」
「うん…」
舞衣からの電話の後直ぐに帰宅するのはどうなのか?と思い、柊と別れた後独りで数十分外で時間を潰していた。
「ちょっと少ないかも…」
「いいわよ」
「じゃあ、準備するから」
「ありがと」
舞衣は茶碗にご飯をよそいながら、
「何かいい事あったの?」
「え!何で?」
「何か嬉しそうだから」
「そっそう?別に何もないわよっ」
少し焦って否定する麻梨子。さすが妹。なるべく表に出さないようにしていた麻梨子だったがあっさりと見抜いた。
「ふ~ん…」
そうかなぁ?と思いながら、舞衣は茶碗をテーブルに出した。
毎日顔を合わせている姉妹。顔を見れば心境の変化はすぐに判る様だ。
『チーンッ』
電子レンジが終了の合図を告げた。
「お姉ちゃん、じゃあ私先にお風呂入るね」
「うん、食べたら片付けておくわ」
麻梨子は点いていたバラエティ番組を観ながら、遅い夕食を開始した。