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M二〇 席替え

「元気してたぁ?」

 教室に入って来た美夏が一番に自分の席に座っていた麻梨子に駆け寄り言った。

 ゴールデンウィークの連休が明け五日ぶりに学校が始まった。

「うん、元気にしてたよ。はい、これおみやげ」

 そう言って麻梨子は鞄から包みを取り出し、美夏に手渡した。

「うわぁ、ありがとう。どうだった?フランスは」

「うん、良かったよ」

「いいなぁ、麻梨子のとこって毎回連休の度に海外に行ってるよね」

「ごめんね、本当は美夏とどこか行きたかったんだけど両親に会うの二ヶ月ぶりだったから…」

「謝らないで、麻梨子はずっと一人暮らしみたいなものだから仕方ないよ」

 一時間目の授業が始まるまで二人は話し込んだ後、自席に歩いていく美夏を見送った麻梨子。そしてそっと柊の方を見た。

(柊君…元気でしたか…?)

(苦しい…私のこの想い…伝えたい…)

 柊と一緒のクラスになって一ヶ月、特にこの数日麻梨子は柊の事を考えると胸が苦しくなった。日に日に柊への想いは強くなるばかりだった…。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

「もう一学期が始まって一ヶ月が経つから、そろそろ席替えをでもしましょうか?」

 歴史の授業中、時間も終わりに近付いた時、担任でもある城美純子先生が提案した。

「賛成!!」

 クラス中が賛成した。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

(サイアク…)

 席替えが終了した直後麻梨子は思った。

(美夏の席が遠い…お昼が面倒だわ!それに授業中に柊君の姿が見えない…)

 今までの席は麻梨子の席の斜め前に柊の席があったため、後姿ではあるがいつでも柊の姿を確認できた。しかし、今回の席替えで麻梨子は廊下側の一番前。柊は窓際の前から三番目の席になってしまった。この位置関係では麻梨子が少し振り返らなければ柊の姿を確認する事が出来なくなってしまった。

(あ~、ブルー…)

 こんな事なら席替えなんてしなくて良いのに!と宛てのない苛立ちを募らせた麻梨子だった。

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