M一九 決意!
「ごめんね、こんなに遅くまで付き合ってもらって」
すっかり夕暮れに染まった空の下、下校中の舞衣が絵里に言った。
「ううん、気にしなくて良いよ。でもまさかセット作りを手伝わされるとはね…」
「ごめんね、拾永先輩ってああいう人だから…」
舞衣は苦笑を浮かべながら言った。
「ううん、良いのよ。楽しかったし」
「私も楽しかった。あの部のみんなが和気藹々としてて。拾永先輩の言ってた事が解かったわ」
舞衣は一旦口篭ると、
「…私、演技部に入るわ!」
何かを決意した時の様に握りこぶしを作りながら言った。
「良かったわね、やりたい部活が見つかって」
「うん、ありがとう絵里」
舞衣の言葉を聞いた後絵里は少し考え、
「よし決めた!」
こちらも決意に満ちた口調で言った。
「どうしたの?」
急に絵里が声を上げたので舞衣はびっくりして訪ねた。
「私も演技部にする!」
「え!本当?」
全く思いもしなかった絵里の言葉に舞衣は絶句に近い驚きを感じた。
「うん、バドミントン部でいいかなぁって思ったんだけど、実は迷ってたの。でも今日の見学で運動部じゃなくても良いかな?って。演技は無理だけど、ああいう裏方も良いかなって思ったの。私も演技部に入るわ。ヨロシクね舞衣っ」
「こちらこそよろしく、絵里!」
薄暗くなった帰り道で二人の少女は手を取り合って喜んだ。