M一一 入学式
物語は再び現在へ
新たな希望にあふれる春
少女たちは希望と出逢いに心を躍らせる・・・
「じゃあ行って来るね、お姉ちゃん」
「お母さんによろしくね」
「わかってるわ」
真新しい光応学園高等部の制服に袖を通した麻梨子の妹、舞衣が家を出て行った。
今日は入学式。前日新しいクラスに進級した麻梨子たち在学生は休校日である。
「あ~あ、することなくなっちゃた…美夏に電話してみよ…」
家で独りになってしまった麻梨子は携帯電話を手に取った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「~~であるから、我が校は文学だけでなく、生徒の日常生活の充実にも結び付いているのです」
(も~、何で校長先生の話ってどこもこんなに長いのよ~?)
かれこれもう三〇分以上も続いている校長の長話に些か嫌気がしていた舞衣。しかしそんな苦行もこの後考えているある事を思うとなんとか凌いでいけると感じていた。
(早く終わらないかな~)
それを思うとワクワクしてきた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「以上で第十七期光応学園入学式を終わります」
「やっと終わった~」
終了を告げる教頭の言葉を聞いた舞衣は小声で開放感を表した。
式が終わると、新一年生は体育館を出て皆一往に保護者と話を始めた。
「舞衣っ」
舞衣の背後から母親が呼び止めた。
「あっママ」
「ママはもう空港に行かないといけないから…」
この四月から仕事の部署が変わり、年中海外を飛び回ることになった舞衣の母親。忙しい仕事の合間を縫って何とか入学式に出席していた。
「うんわかってる、気を付けてね」
「うん、麻梨子にもよろしく言ってね」
「分かってる」
「舞衣も気を付けるのよ」
最後に強く念を押すように言って、舞衣と別れた。
父親は既に以前から海外出張に出ていて、家に居るのは月に何日かという状態。
それに加え母親もそれと同じ状況になってしまい、家には麻梨子と舞衣の二人だけになる事が多くなってしまった。そのため家には万全のセキュリティーシステムを配備している。
半年前に舞衣、麻梨子二人の姉が結婚したのだが、近所に住んでいる為、たまに姉夫婦も家で過ごす事があるが、それは稀でほとんどは近所の本低に済んでいる。
実質二人暮しの状況に母親は不安を感じながら渡航した。