希望ーそして、誕生
この物語はフィクションです
実際の人物、団体、出来事等とは一切関係ありません。
西暦3000年 1月1日 午前4時
薄暗い実験室。
その中に1人、黙々と何かの作業をしている男がいた。
彼は世界的に有名な科学者で、これまでに何度も偉大な功績を残し、高く評価されてきた。また、医学や薬学にも精通しており、奇病や難病の治療、新薬開発等を行い、これまでに何億人もの命を救った、もはや英雄と呼ぶべき人物だ。
そんな彼は、今はある研究を行っていた。
それは、『超能力者の開発』だ。
超能力という単語は、誰もが1度は耳にした事があるだろう。超能力とは、通常の人間には不可能な事を可能にする特別な力のことだ。例として、サイコキネシスや空中浮遊等が挙げられる。
彼は元々ある研究所の所長で数十年前までは、約50名の研究員と共に超能力者の開発に力を入れていたのだが、過酷な現場と責務の重さに耐え切れなくなった研究員が次々と辞めていった。
施設の研究員が彼1人となって、どのくらいの年月が流れただろうか。彼は研究所に残り、今でもこうして1人で研究を行っている。
今は、目の前のカプセルに入っている超能力者の能力の最終確認を行っている。
そんな彼の目には期待と喜びではなく、激しい怒りと悲しみのようなものが浮かんでいた。
「やはり、あの方はすごい……!これで、ようやくあいつらに……、仇を……!」
1時間後。
最終確認が完了し、彼は様々なチューブが繋がれた1人の人間をカプセルから出した。この人間こそが、長年彼が研究し続けていた超能力者だ。
彼は超能力の性能や身体能力など、様々な項目を1つづつ確認していった。
「素晴らしい!これなら……!」
確認する事約1時間。
全ての項目を確認し終わった彼の目には、先程とは違う、喜びのような感情が見て取れた。
「ついに…、ついにやったぞ!私の長年の悲願が叶った!超能力者の誕生だ!!ハッハッハッハ!!!」
この日、この瞬間、世界で初めて超能力者が誕生した。
次回、本編スタート