第五話 異世界にホラーなんてない
遅くなりました。
前カイのあらすじーーー!!!
どうも、皆さんこんにちは。神山です。
平凡な日常を送っていた俺は突然、異世界に飛ばされました。
異世界で俺は救世主と呼ばれ、魔王を倒すことになります。
正直俺は、地球に帰れたらそれでいいので、協力することにしました。
ここで変に反抗したらめんどくさいので、様子見といった感じです。
そして現在、この物語のヒロイン候補であるレンカさんの部屋の前にいます。
中からの物音が聞こえない状況。
この扉の奥に待っているのは天国なのか?はたまた地獄なのか?
デュエルスタンバイ!
…というわけで、長年の夢であったあらすじ紹介をしてみた。
誰かが聞いているわけでもないが、こうやって状況を整理するのも大事なことだ。
勝手に、レンカさんをヒロインとか言ったのは申し訳ないと思う。
自分が好きなら相手も好きなはず、みたいなメンヘラみたいな勘違いは流石にしない。
…あ、そういえばうちの学校にも居たわ。ストーキングが激しいメンヘラ。
電柱の影から男子のこと見てたけど、いやーあの目はやばかったね。
ハイライトが仕事してなかったからね。
まあ、俺は関わりたくなかったからスルーしたけど。
「さてと、本当にレンカさん部屋にいるのかな?」
思い出に浸るのも程々にして、今の自分の状況に改めて考え始めた。
入るべきか、入らないべきか、2つの選択肢が俺の中で巡っている。
入らなければこの話が進まないのも理解している。
しかし、主人公は自分の選択に自信を持つものだ。
それが、間違った選択だとしてもだ。
「…よし、いくぞ。」
遂に覚悟を決めた俺は再び、ドアの前にたった。
「スーーー、ハーーーッ。」
ひとまず深呼吸をしておく。
皆まで言わないが、すごく緊張している。
どのくらいかというと、主人公が二人の女の子に正座させられて、ものすごい目で見下されてる時くらい緊張している。お前、一体何したんだ!、って突っ込まれるやつ。
コンコン「レン力さん?入りますよ?」
「・・・。」
返事がない、ただの屍のようだ、じゃなくてさっさと入ろう。
「し、失礼しまぁす。」
ゆっくりとドアが開いた。
特に『ギィ』などの油差しをサボっているような音はせず、ただ静かにドアが開いた
「レ、レンカさん?いますか?」
「・・・。」
やばい、本当に怖くなってきた。なんで、返事しないの?怖いんだけど。
ていうか、物音すらしないんだけど。こういうときは、『ガタッ』とか『パキッ』みたいなラップ音が聞こえるのがホラー映画のお約束なんだぞ。
明かりもなく、カーテンを締め切っているので部屋は真っ暗で、いかにも出そうである。
ホラー映画のワンシーンを思い出している時、突然異変が起こった。
「ん?誰か居る?」
俺は何かの視線を感じ周囲を見渡した。相変わらずの暗闇で良くは見えない。
しかし、人は視線というものに敏感だ。ましてや、殺意などの念のこもった視線は感じやすい。
俺は無言で体勢を低くした。そして周りに注意を向ける。
速やかな行動は評価できるが、その後の行動を予測していないので減点だ。
長いようで短い沈黙は部屋に居たナニカによって破られた。
「ん〜、誰かいらっしゃるのですか〜〜?」
眠たそうな声が部屋に響いた。
……ん?え?この声、レンカさんだよね?
どゆこと?寝てたの?
普通ノックしたら起きるよね?
ということは、それに気づかず、これまで寝てたってことだよね。
ええ〜、マジか~。さっきまで緊張してた俺がアホみたいやんけ。
ってか、それだと俺不法侵入じゃん。
このままだと、美女の寝込みを襲った変態になってしまう。
この状況をやり過ごす方法はたった一つ、
「レンカさん、起きてください。もう朝ですよ。(イケヴォ)」
「ふぇ?…はっ!きゅ、救世主様!?」
「ええ、そうですよ。」キラーン☆
そう!これが、ラブコメの必殺技!王子様の朝の囁き!!
これをやられたら、ヒロインは嬉しさと恥ずかしさに苛まれるだろう。
しかし、これができるのはイケメンだけだ。
別に自分のことをイケメンと言いたい訳ではないけど、願わくば一瞬でも慌ててほしい。
勿論いい意味で。
さあ、どうだ…?
「あ、あ…。プシュ〜」顔真っ赤
「あ、気絶した。」
どうやら上手く行ったようだ。
これで俺の顔は平均以上ってことだな!母さん、この顔に産んでくれてありがとう。
しかし、起こす予定だったのにまた寝させてしまったことに、今更気づいた俺だった。
次こそ、スキルを…。