表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

服部綾花&藤原リタ

「よーす!アリス、千冬」

「ごめんなさい、茜さんを待っていたら遅れてしまいました」

三人して少ししんみりとした空気になっていた所に、快活な挨拶が空気を壊してきた。何事かと思い、声のする方へ視線を向けると高校生ぐらいの女子が二人立っていた。片方はスポーツをしているのだろうか?肌は日焼けをしておりとても健康的に見える。もう片方は長身で、肌は透き通るように白い。秋田美人を彷彿とさせる。


 「よーす!にんにん、ゆりゆり」

「おはようございます。新美さん、百合草さん」

どうやら、知り合いらしい。最早誰かは分かりきった事だけどな・・・。

「お~、君が例のアリスの彼氏君かな?」

「はい!?全く違いますけど!?」

遅れて来た褐色少女の爆弾発言に、初対面なのに醜態をさらしてしまった。

「だって、アリスがウキウキで君の事を喋るんだよ?しかも君アリスのストーカー事件を解決したって火夜ねえから聞いたよ。アリスの頭を撫でたり抱きついたりしたんでしょ?そんなのもう彼氏じゃん!」

頬に手を当て、年相応の反応を見せている。

  ひよまゆみぃ・・・。

俺は今ここにいない、彼女らの先輩を恨んだ。


「こら、いきなりのそんなデリカシーの無いことを言っては駄目ですよ茜さん。困っているじゃないですか」

「ちぇ~、つまんないの…」

反応に困っていたら、もう一人の長身の方の女子が褐色少女の暴走を止めてくれた。

「突然すみません。茜さんはちょっと恋愛絡みの話になると歯止めが効かなくなるので・・・」

「は、はぁ・・・」

またあいつとは違うタイプの奴が来たな・・・。

新たな頭痛の種を抱える事に落胆していると。


「所で君は私達が誰なのか分かるかな?」

私達が誰なのか?その一見奇妙に聞こえる質問に対する俺の答えは決まっている。


「二期生の服部綾花と藤原リタだろ?」

「お、流石だね。流石、私達の黎明期を支えた切り抜き師なことはあるよ」 俺の勘は鈍っていなかったようだ。

「それじゃあ自己紹介とでもいこうかな、花!」

「綾!」

褐色少女の問いかけに俺はお決まりの返しをする。


 「エクスペリエンス所属、二期生服部綾花だよ!本名は新実茜。二日間よろしくね」


 服部綾花、服部の名を関している通り忍者をモチーフにした vtuber だ。配信内の話ではあるが時折、忍者顔負けの運動神経の高さが垣間見えるエピソードが出てきたりと、奇想天外な話しぶりが人気だ。二期生内ではムードメーカー的な存在であり、良く二期生と一緒にオフコラボを行なったりと二期生の仲を深めている一因となっている。


「同じくエクスペリエンス所属、二期生藤原リタです。本名の方は百合草美香と言います。短い間ですがよろしくお願いします」


 藤原リタ、異世界からやって来た魔法使いという設定で活動しており、一言で彼女を表すとするなら『ママ』だ。彼女の包容力はエクスペリエンスの中でも秀でており、その声は一言発するだけで心が暖かく包み込まれるような気分になれる。配信ではそののんびりとした声で癒やし系 vtuber として名を馳せている。

二人の vtuber 名と本名を明かしてくれた。

「切り抜き師 aki として活動させてもらっている。本名は織本明だ、よろしく頼む」

「それじゃあ、あきって呼んでも良い?」

「良いぞ」

「それじゃあ私の事は茜で良いから」

こうしてお互いの自己紹介が済み、俺たちは草津に向けてホームへ向かうのであった。


新幹線に揺られ早四十五分、俺はあの後特に進展は無く、二期生の三人が俺の隣で楽しく遊んでいる所にズケズケと入れるわけもなく、今こうして黄昏れているというわけだ。流石に気まずい・・・。今現状俺が置かれている状況は、同じ班の陽キャグループの話の輪に入れずぽつんと一人陰キャが車窓の外をただ延々と眺めている状態だ。俺を含めもう一人居るがな・・・。


 「あき君の事を呼び捨て言うなんて・・・。まだ私でさえ行ったこと無いのに・・・。

にんにんの奴・・・同期だからって・・・」

茜が俺を呼び捨てし始めたの聞いていてから、露骨に落ち込んでいる。

「おい、そんなに俺の名前を呼び捨てされたのがショックだったのか?」 寂しい気持ちを紛らわせるために、隣に座っている秋津さんに話しかける。

「ん・・・、もしかして聞こえてた?」

「聞こえるも何も呪詛かよ、同期を呪い殺すきか?」

「べっ別に先を越されたからって少し落ち込んでるわけじゃないから・・・」

珍しく拗ねてる様子を見せている。こういう姿は配信でも学校でも見た事が無いので新鮮な感じだ。

「てか良いのか?同期の間に入らなくて」

「そんな気分じゃない・・・」

居眠りをするように背面テーブルに頭と腕を預け、横から顔を覗かせている。

「じゃあさ、頭撫でてくれる?」

「お前も随分神経図太くなったな・・・」

「相棒の願いなんだよ?聞いてはくれないのかな?」 無防備な姿勢からとんでもないことを要求してきた。

「俺はお前の彼氏か・・・」

「お願いだよー、今こそ私達の絆の強さを試すときだよー」

「そんな事をするために俺はお前の相棒になったわけじゃない・・・ぞ」

「やっぱりしたいんじゃん。ほれほれ良いのじゃぞ、今私の頭を好きにできるぞ」

「いや・・・、でもな付き合っても無い男女がこんな事しても良いのかなと・・・」

「初心か!」


「お〜、おっぱじめてるね〜。ヒューヒュー」 通路の方から茜が茶々を入れてきた。

「む〜。にんにん邪魔しないでよ」

「いや〜、彼氏さん初々しいね〜」

「全くだよ本当・・・」

「あきも少しぐらいサービスしたら?アリスは案外寂しがり屋なんだから」

「ちょっとにんにん!?」

同期に秘密をばらされ、少し赤面していた。



「まもなく草津です」

草津に着く旨のアナウンスが流れた。


「それじゃあ、楽しもうね。あき!」 草津旅は茜の一声から始まった。


こんにちは490です。

最近は一気に寒くなって来ましたね。私は布団から出られない日が続いています。

遂に二期生全員集合です。多分旅行編が一番長くなりそうです。今絶賛行き詰まり中ですがね…。


この物語を読んでる人に最大限の感謝を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ