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狐野千冬

 朝方、これから仕事へ向かうであろうスーツ姿の人々が行き交う東京駅。俺はそこに普段着とリュックを背負って立っていた。昨日集合時間と集合場所を言われ、急いで準備をした俺を褒めてほしいものだ。集合時間は六時半、ここ東京駅だ、しかし周りを見渡してもいるのはサラリーマンと隣にいる、まるで人形のような小さく可憐な少女ぐらいだ。


 「あっ・・・あの・・・すみません」

 そんな事を考えていたら隣の少女と目が合った。そう思ったらその少女が気弱そうに話しかけてきた。       

 「えっと・・・、どうしたんですか」


 「あの・・・」

 目の前の少女はおどおどしており、気弱な印象を受ける。

 「何か聞きたい事があるんですか?」

 「あのお・・・」

 話せば話すほど気弱な印象を受ける少女だ、まあろくに話せていないが。さっきから目をそらし気味でまともに会話が成立してないしな。

 

 「あき君〜。お〜は〜よ〜う〜」

 元気な挨拶が俺達の拙い会話を遮った。

 「って、お前か・・・。遅いぞ、もう一五分も遅れてるし」

 「いや〜、少し電車が遅れちゃってね」

 遅刻したことを悪びれた様子も無いようだ。

 「お〜、カノッチ!おはよ〜」

 「おはようございます、サラちゃん」

 「カノっチ?」

 秋津さんが挨拶したのは、さっきまで俺が話していた少女だった。


 「ああ、紹介するね。この子は鹿野彩由美(かのあゆみ)ちゃん、私の同期の狐子千冬(このちふゆ)ちゃんだよ〜!」

 「ちょっと!サラちゃん抱きつかないで〜」

 秋津さんが鹿野さんの紹介をした後に抱きつき始めた。まるで姉妹のような仲の良さだ。

 「さらっと流したけど、その子があの狐野千冬か?」

 「そうだよ〜」

 「あ〜、お前の同期が来ることは予想してたが、その・・・幼すぎないか?」

 俺の見立てでは鹿野さんは十歳位に見える。

 「えっと・・・、私一応今年で一二歳です・・・」

 俺の声が漏れていたのか鹿野さんが自分の年齢を明かしてくれた。

 「若いな・・・。じゃあデビューの時は十一歳か」

 「コノっチは凄いんだよ!うちの事務所で最年少なんだよ」

 「なんでお前が自慢気なんだ・・・」


 狐野千冬《このちふゆ》、桜庭アリスと同じ二期生で、舌足らずな声と愛くるしい見た目でロリコn・・・、小さなお子様が好きなリスナーに熱烈な人気を誇る。二期生では妹キャラとして定着しており、一期生からも愛されている。狐野千冬は自然すぎる幼声で魂は一体どんな人なのかとネット上で予想されていたが、まさかこんなに幼く見える少女がやっているとは予想できなかった。確かに夜十時以降の配信がなかったのがヒントになっていたかもしれない。


 「サラちゃんからあなたの事は聞いています。1泊2日間よろしくお願いします」


 礼儀正しく礼をされ、俺もつられて礼をする。

 「こちらこそよろしくな、俺の自己紹介がまだだったな。俺の名前は織本明、秋津さんから聞いているかもしれないけど切り抜き師のakiとしても活動させてもらってるよ」

 「あなたがakiさんですか!いつもありがとうございます!」

 「えっと・・・、それはどうも・・・」

 さっきとは打って変わって、目を輝かせていっきに好意的な態度を取り始めた。俺は鹿野さんの唐突な態度の変化に戸惑いを隠せずにいた。

 

 「あはは、これもあき君のせいかもね?」

 「俺のせい?」

 「実は、あき君のお陰で今のカノっチがいるんだよ」

 「そうなんです!あきさんのお陰で、今の私がいると言っても過言じゃありません!」

 「まあ、私があき君の切り抜き動画を見たの、カノっチが見せてくれたんだよね。だからカノっチの方がファン歴が長がったりするんだけどね・・・」

 何故か少し悔しような顔を浮かべているが、まさか狐野千冬が俺の切り抜き動画を見ていたと驚きだ。     

 「ここで話すのもなんですが・・・」

 

 そして、鹿野さんは自分がこうなった経緯を話し始めた。

 「私はデビュー当初、まだ配信経験がほとんど無くて右も左も分からなくて配信が配信としてギリギリの所を辛うじて保っていました」

 

 確か、狐野千冬《このちふゆ》のデビュー当初はとてもじゃないがうまい配信とは言えなかった。そして最初はまだ今のように、幼声を用いた配信は無かったのだ。当初は高校生ぐらいの万人受けするような声だったのだが、ある日を境に今の、幼声を用いた配信が行われるようになったのだ。

 

 「それでエゴサーチをしても心無い言葉が多くて、一時期は辞めようと思ったこともありました。でもそんな状況であきさんの切り抜き動画を見たんです。私はその動画を見た時感動しました。あんなに面白くも無かった私の配信が、こんなにも面白くなるんだと。私は感動しました、そして私の配信はここまで面白くなる可能性があるとも思いました。そして自分のキャラの研究や企画を考えたりして、今の私がいるというわけです」

 

 そう熱烈と鹿野さんは話してくれた。

 「狐野さんの活動に貢献できたようで本当に良かったよ。こっちも動画を作った甲斐があったよ」

 狐野千冬の配信背景に俺が関わり、それが一人のvtuberの原動力になっていたとは切り抜き師冥利に尽きると言うものだ。



こんにちは490です。


今回は少し区切りが悪いですが新キャラの登場ですよ〜!ヒロインの同期となります。やっぱりロリは最高だぜ!実はスランプになった原因の1つにキャラ設定があるのですが、どうも自分はネーミングセンスが無いのか、キャラの名付けに結構な時間がかかってしまいました。VTuberの名前もあるので名付け2倍ですしね・・・。でも、自分でも納得のいく名前にはなりました。ここから新キャラたちと一気に物語を進めていきたいです


後カクヨムにも出張しました。見てくれると嬉しいです。


読んでくれている読者には最大限の感謝を、次の投稿まで首を長くしてお待ち下さい。

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