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似たもの同士

「これが事件の全容だよ。どうかな?」


 話し始めて数十分は経っただろうか。謎に包まれていた事件の全容が語られた。


「どうって言われてもな……。てか半分ぐらいお前の身の上話じゃねぇか……」


「いいじゃん別に……。私とゆりゆりのお話だよ? 花びらのあきくんからしたらものすごい貴重なお話なんだよ? それを身の上話で片付けないでよ」


「確かに貴重だが俺の聞きたいことはそれじゃねぇよ……」


「まあそれもそうか……」

 少し考えるような仕草を見せた後に秋津さんはこう言葉を添えた。


「私思うんだけど、あきくんと茜ちゃんって似た者同士だと思うんだよね」


「俺が茜と……?」


「仲間の為に一生懸命になれる所とか特にね。いつも真っ先に飛び出して物事を解決しちゃってね。まああきくんは飛び出すだけで飛び出して解決とかしない所とかは茜ちゃんと違うかな」


「おい……」

「でも二人は本当に似てるよ。不器用な所とかもね」


 そう秋津さんは言い切る。


「だからさ、思いっきり言い合いなよ。二人共々不器用なりにね」


「不器用って……。それでどうにかなるのか?」


「なるよ。存分に語りあってくるといいさ。まあ茜ちゃんと語り合うと死人が出るかもだけどね……」


「怖いこと言うなよ……」


「ふふ。それじゃあ私はお暇しようかな。もう夜も深くなってるしね」


 足湯から上がり、最後にこう言い残した。


「あきくんはそこで少し待っていてね」


「は? 何で?」


「それじゃあね〜」


 俺の問に答えることなく温泉街の闇へ消えてしまったと思ったら最後に立ち止まった。


「絶対に仲直りするんだよ〜!」


 手を口に当てて言うと今度こそ闇へと消えてしまった。

「あいつ……」


 その思いを胸にそっとしまい俺はあいつの命令を無視し足湯から上がる。


 俺はあいつの命令を無視し足湯から上がる。


 足湯に浸かっていたからか寒さをあまり感じなかったが、昼の時とは違い深夜はひんやりと肌を刺すような寒さが襲ってくる。


 あいつに言われてすぐに部屋から出たため浴衣のままだ。


 取り敢えず暖を取りに近くのコンビニに避難する。


「生き返る……」


 人工的な暖気で冷えた体を温める。


 深夜であったからか小腹が空いてきたので何か買って食べようと店内を物色する。

コンビニに浴衣と明らかに場にあっていないがおにぎりとインスタント味噌汁買ってイートインコーナーで食べようと立ち寄ると俺と同じくコンビニの場にあっていない奴がそこにいた。


「よっ!」


「なによ……」


 そこにはパンと春雨スープを食べていた茜がいたのだった。


「お前も腹減ったのか?」


「あんたと違って私は深夜に食べ物なんか食べない」


「食べてるじゃねぇか」


「うるさい……。本当は食べる予定じゃなかったの」


「というと?」


「言うと思ってるの?」


 ギロリとこちらを睨んでくる。

「ホント最悪……」


「悪かったな。そんなに俺が嫌いか?」


「嫌いだけど? この際はっきり言うけど私の仲間を傷つけた奴を信頼するっていうのが可怪しいし、皆……、特にアリスはあきの事信頼してるようだけど、人様の慰安旅行に参加しちゃう精神とか本当に信じられないし。あきって何? 世間知らずなの?」


「ぐぅぅ……。俺だって別に好きで参加してるわけじゃねぇよ。あいつに無理やり連れてこられただけだ」


「それはお熱いことで」


「そんな棒読みで言うことないだろ……」


 まああいつの可愛さで付いてきましたなんて口が裂けても言えないけどな。

「てかあきは何でこんな場所にいるの? 今深夜まわってるよ。不良なの?」


「それお前にもブーメラン刺さってるけどな。俺はあいつに呼び出されて今はその帰りなだけだ」


「ふーん。奇遇だね。私はアリスから呼び出されて来たけどアリスいなかったんだよね……」


「お前は見捨てられたんだな可哀想に。まあ俺はあいつとはもう固い何かで結ばれてるからな」


「その固い何かってのはアリスの海より広い優しい心からきてるだけだよ。ファンサの区別ぐらい付けようね、バチャ豚くん?」

「あぁ? おい今何って言った?」


 バチャ豚と言う単語に反応して俺はさっきのおちゃらけた声から一変して怒気を含んだ声色になった。


「急にキレてどうしたの? もしかして現実を知って傷ついちゃったのかな?」

 俺の気持ちを踏みにじるような声に一気に冷静さが無くなっていくのが分かる。


「俺はバチャ豚って言われるのが嫌いなんだよ」


「ふーん。それで? そう言われても仕方ない事をしてると思うんだけど?」


「だからお前はそこら辺勘違いしてんだよ!」


 話は一向に進展せず平行線のままだ。


「はぁ……。アリスは結局来ないし、あんたとは会うし、ホントついてない……」


「おいちょっと待てよ!」


「待たない。あんたとのお話はこれで終わり」


 話はまだ一歩も進展していないのに茜はこの場から去ろうとしている。しかし、俺は茜を止める言葉は持っていなかった。


 俺は茜の背中をただ眺めていることしか出来なかった。


 



 

お久しぶりです! 作者の490です。


3週間ぶりですね……。投稿遅れてすみません……。


まあ期末考査があってそれのテスト勉強とかで忙しかったんですよ。(2教科赤点補修した人)


まあ3教科程赤点を取ってしまいましたが、留年は免れましたよ(泣)


まあ今回の話で対に最終章です!! やっと初心者なろう作家の自分が完結まで一歩手前まできました。ここまでこれたのは読者様のおかげです!! 後は1話+エピローグで完結です。 是非最後まで応援よろしくお願いします!!


最後にこの物語を読んでくれている読者様に最大限の感謝を。 


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