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忍びの仕事は粛々と

 まずは私の役目を果たさなきゃ……。


 そう思いながら私はカフェを後にし本社に戻ってきた。


 私が新実さんに託された役目は至って簡単で、それは本社で働いている人に彼の人柄を聞いて周る事だ。


 新実さんによると「外堀を埋めるためだよ」とは言っていたがこれだけで効果はあるのだろうか……?


 取り敢えず私は一番縁が深いマネジメント課の人たちにコンタクトをとっていく。


「あの……すみません」


「どうしました?」


 こんなふうに片っ端から彼の人柄を聞いて周った。


 幸いマネジメント課の人たちとは顔見知りなのですぐに彼の人柄は聞き出せた。


「にしても典型的な男ね……」


 本社の廊下で思わず声に出てしまう程には彼は正真正銘のクズだった。


 マネジメント課の人たちも彼の素性は知っているようで、総じて彼の評価は芳しく無い。具体的には仕事が出来ないのは当たり前で、親を盾に横暴な態度を取る、自分の意見が通らないと子供のように喚く、その割には責任は取らない、などなど他にも様々な悪行を積んでいるようだが多すぎるのでこの辺にしとおこう。


 とまあ彼の人柄は予想を外れず典型的なクズ男だった。


 ここまで典型的なのは今どき珍しい気がするよ……。


 そう思いながら私は新実さんに電話を掛けて結果の報告をすることにする。


『やっほ。首尾はどうかな?』


「もう聞くだけで嫌になりそう……」


『いきなりすごい弱気だね……。あいつやっぱり会社でも嫌われてたんだね』


「それはもうもの凄く……ね。聞いているだけで参りそうだったよ……。マネージャーさんたちがいつも見せない表情してた……」


 会社の人たちは笑顔で愚痴ってくれたが明らかに目が笑っておらず、相当鬱憤がたまっているようだ。


『いや〜ごめんね。こんなよく分かんない役目押し付けちゃって』


「本当だよ! これ何の意味があるの……?」


『え? 意味特になんて無いよ』


「は? どういうことかな? いくら人の愚痴を聞くってだけでも結構大変だったんだけど……?」


 思わず怒りが滲んだ声で返答を求めた。


『お〜怖っ、そんな怒らないでよ。別に遊びでやらせた訳じゃないんだからさ』


「と言うと?」


『ほらさっき言ったじゃん。外堀を埋めるって』


「意味があるとは思えないんだけど……?」


『今は皆に共通認識をもたせてるの。会社と言っても小規模だからね、味方を作るのはこんなんで十分なんだよ。後、実行は明日の公式番組撮影だから沙羅も来てね〜。今日はもういいよおつかれ〜』


「分かったは……。また明日ね」


 そうして今日の役目を終え私は帰路につくのだった。






「ふー……」


 家に帰り、上着を掛けることなくそのままベッドに体を預けた。


 今日は色々な事をしたので疲労が一気に押し寄せてきた。


 今日は配信はお休みかな……。


 流石に疲れたのでTwitterに今日の配信は休む旨のツイートをしようとスマホを取り出すとDiscordに一件通知が届いた。


 疲れすぎて視界が霞むが力を振り絞ってスマホ画面を見る。


 百合草さんから……?


 今日はお話を聞いてくれてありがとうございます。秋津さんに話を聞いてもらって少し楽になれました。あの後少し考えたんですけど事務所に相談して活動を休止しようかと思っています。心配をかけるかも知れませんが必ず戻ってくるので少しの間一人にさせてください。


「――っ!」


 私はこの文面を見た瞬間急いで百合草さんに通話を掛ける。


『もしもし。どうし――』


「百合草さん! さっきの文どういうこと!」


 焦る気持ちに連動してか語気が強くなってしまった。


『え……? 急になんなんですか……』


「なんなんとかじゃなくてさっきの文章の事! 休止ってどういう事なの?」


「えっと何でそんなに怒っているんですか……?」


 私の声に百合草さん萎縮してるような反応を見せている。


「そんな事は今は関係ないよ!」


『関係ないって……、いきなり人を怒鳴りつけて一体何がしたいんですか!』


 百合草さんが悲痛に言う。


「何がしたいって私は百合草さんの事を心配して……」


『貴方は人の事を心配する時いきなり怒鳴りつけるんですか! 事務所にいる時とは違って!』


「事務所にいる時って何よ!」


『そのままの意味ですよ! 貴方は私がおかれている現状を知って置きながら、Discordの時はこうやって怒声を浴びせているじゃないですか!』


「これは違っ――」


『何が違うって言うんですか!』


 売り言葉に買い言葉、話はどんどん違う所へ流れていく。


『もう切りますから!』


「あ、ちょっと!」


 私が止める間もなく通話は切れてしまった。




「何してるんだろう……、私……」


 通話が切れ静かになった部屋で呟く。


 同期が心配で通話を掛けて最終的には喧嘩別れみたいになって……。


「どうしてあんなにカッとなったんだろ……」


 そのせいで同期とマトモに話も聞けず一方的に……。それで残せたのは同期の心に傷を付けただけ……。


「どうして……、どうして……」


 こんな事がしたい訳じゃなかったのに……。でも結局事態を悪化させただけ……。


 自分が犯した事を遅れながら理解した。


「謝らなきゃ……」


 もし私がして何かあったりしたら……。


「あっ……」


 目の前が真っ暗になり体に力が入らない。


 ――なきゃ……。


 その日の記憶はこれ以上覚えていない。

今話で本章が終わると言ったな! あれは嘘だ……。 作者の490です。

いや〜、読者様を一週間以上待たせてさらに嘘も付く作者いるってま〜?


誠に申し訳ございません!!

ちょっと書き進めたら結構新たなストーリーが湧いてきちゃいまして……。それが今話という事です……。


だったら最後まで書ききれ?

全くそのとおりでございます。これは私の完全なるやる気の問題です。怠惰な作者ですみません。


しかし今度こそ、今度こそ次話で本章を完結させます。約束します。読者様には迷惑をおかけしますが首を長くしてお待ち下さい。


この作品が面白かったら気軽にブクマ、評価、感想を付けてくれると作者が喜びます。


最後にこの物語を読んでくれている読者様に最大限の感謝を。 



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