表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

266/383

266.再会2 ~side K~


「……なに?」


 思わず兼継は聞き返した。


「雪は自分がここに残ったら、あんたの負担になるって思っているんだよ。あんたは直枝の跡取(あとと)りで、跡継ぎ(こども)が必要だからって。それでさ、俺たちはこの世界の『未来』を知っているって前に話しただろ? 雪は、あんたが不幸になる(はず)の『今後の未来』を変えてから帰りたいって言っていた。それで正宗んとこに行ったんだよ」

「それならそうと、何故、あの娘は私に言わない?」

「言えるかよ。「将来、上森は徳山に()けますよ」って言われて、はいそうですかって、あんた信じてやれる?」

「……」

「これも『歴史の修正力』が掛かる案件だ。それでも雪は変えたいと思っているんだよ。正宗に嫉妬して、雪に当たるな」


 図星を指された兼継は、ぐっと詰まって顔を()らした。


「……嫉妬など、していない」

「別にあんたのことなんてどうでもいい」


 面倒そうな表情を隠しもせずに、桜井が言葉を続ける。


「あのさ。雪に(こく)ったのは聞いたけど、それから何があったのさ? あんたの様子がおかしいの、俺が気付かないと思ってる?」

「雪はお前に、そのような事まで伝えるのか」

「だから嫉妬すんなって。友達なら恋バナくらいするよ。あんたは正宗や清雅の事を気にしてんのかも知れないけど、雪は別にそーいう風には思ってないよ。それなのに八つ当たりされて。雪が可哀そうじゃん」

「お前は思い(ちが)いをしている。拒絶されたのは私の方だ。同情ならばこちらにしろ」

「マジかよ、振られたの!?」

「館の件だけではない。現に雪は、肥後に行ったではないか。戻る保証などどこにも無い!」


 げらげら笑いだした桜井に、兼継は手近なおかきを投げつける。

 最近、この手の攻撃に免疫力をつけた神子姫は、笑いながら菓子を受け止めた。


「誤解だと思うよ? まあ、あんたがそう取りたいならどうでもいいけどさ」

「誤解なものか。お前は見ていないからそう言えるのだ」

「だから。それならそれでいいんだよ」


 手にした菓子を口に入れた姫は、澄ました顔で咀嚼(そしゃく)する。


「俺としては、雪を元の世界に連れて帰りたいんだ。こんな不便で危ない世界になんて置いておきたくない。あんたが雪を諦めるなら、俺も連れて帰りやすくなる。雪もこの世界に未練がなくなるだろうし、全然構わないよ」

「……」

「雪があんたと離れたくないって言うなら尊重するさ。でも別にそう思っていない。『雪村』を戻して、自分は元の世界に帰るつもりだ。あんたは正宗や清雅が恋敵だと思っているだろうが、そうじゃない。雪本人だ。雪を心変わりさせなきゃ、いずれ、この世界から居なくなる。会う事もできなくなるよ」


『雪を連れ帰るつもりなら、目下(もっか)の敵はお前という事になるな』


 そう突っ込みたかったが、やめた。

 狭量だと言われても、あの娘が他の男のものになる未来を見るくらいなら、異世界に連れ帰ってくれた方がましというものだ。


 異世界か。


 戦も無ければ怨霊も出ない。神の力に頼らずとも、火や水を自在に操る法具がある世界だと聞く。

 このような危険な世界に置きたくない、連れ帰りたいと言うこの男の言い分は解るが、間に合ううちに手を打て、と言わんばかりの忠告してくるのはどういった思惑(おもわく)なのか。


「お前は私が嫌いだろう。何故、そのような事を教える?」

「それが俺の役目だと 決めたからだよ」


 言葉足(ことばた)らずと思ったか、神子姫は兼継を見据(みす)えたまま 更に言葉を続ける。


「俺もさ、イベントに軒並(のきな)み失敗したこの世界に、何しに来ているんだろうって思っていた。別に何をするでもなく、奥御殿に(こも)って菓子ばっかり食ってさ。でも本来のストーリーから外れて、エンディングを変えようと頑張っている奴がいる。そいつと出会えて友達になれたんだから、そいつの目指すエンディングの手助けすんのが俺の役目だと思ったからだよ」


 何を言っているのか解らない。

 しかし桜井も、それと知りながら喋っているのだろう。


 聞き返す事なく、兼継は「そうか」と(うなず)いた。


異世界恋愛なのに、友達キャラの方が暑苦しい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ