bigmouse
誤字脱字があれば教えてください。m(_ _)m
2052年、地球の大陸のほぼ全てが未知の生命体によって占領された。
2022年、いつから居たのかわからない、気付いたらそこにいたのだ。最初の発見はニューヨークの人通りに紛れこんでいたのだ、それが気付くと10、100、1000と数を増やしていったのだ。それは一瞬の出来事だった、増えた瞬間は誰も見ることができなかった。見た目は生ゴミを漁っている様なネズミがそのまま人型になった感じだ。"それ"は急所が無い上に驚異的な回復力をもっている。
それらの生物は宇宙からきた宇宙生命体なのか、地底からやってきた地底生命体なのか、それは今の人類にはわからないことだ。
ただわかることが一つある、"それ"はなぜ突如、人間の領土に侵入してきたのか?、それは新しい生息地を得るためだ。"それ"は無差別に生物を襲い、無防備だったニューヨークを1日程で壊滅させた。しかも厄介なことに"それ"は武器を使うのだ。武器と言っても刀や銃のような物理的に攻撃をするものではなく、化学兵器の様なもので"それ"の持っているライトの様なものの光で照らされると体の内側から爆発してしまうのだ。"それ"は今の人類よりも遥かに進んだ科学文明をもっていた。人類は人類存亡の危機とし、世界中の国々が一丸となり対抗するが、全く敵わなかった。最初の出現から2週間ほどで人類は世界人口の99%以上を失い、人類最後の砦南極大陸に残りの人類は移住した。"それ"は南極大陸には何故か来なかった、まるで、あえて残りの人類を生かしているかのように。後に"それ"はビディスと呼ばれるようになった。
2052年
南極大陸は既に氷がほとんど溶け、都市となっている。都市といっても8割以上が軍関係施設である。住んでいる人々の多くが日本人で公用語として日本語が使われている。この都市の平均年齢は40歳といったところで、半数以上が軍人だ。日本人が多い理由は、2022年の日本には超大型のヘリコプターがあったからだ。ヘリコプターといってもドームほどの大きさがある。(そのヘリコプターには約1.5万人乗ることができた。)
人類はビディスにまだ負けていない、南極大陸に住んでいる人たちは皆そう思っている。なぜなら人類はビディスに対抗する手段が無いわけではないからだ。ビディスとの戦争時にも人類は千体以上ビディスを倒すことに成功している。
討伐方法は単純だ、熱湯をかければいいのだ。ビディスは熱湯(100℃以上)をかければ即死ではないが討伐することができる。だがビディスらはとても素早く、防具も着ているためなかなか本体に熱湯がかからない。ビディスは温度変化に弱い生命体なのかもしれない。それによって2年前にビディス専用弾が開発された。実際にビディスには撃ってはいないため、効くかどうかはわからない。
そんななか、南極大陸で初めて産まれた少年"罘互"は13歳の誕生日を迎えていた。罘互は人類が都市が完成する直前に生まれ、生まれつき父親がいない。
母親は元軍人で今は研究者として働いている。家にはなかなか帰ってこれない。罘互には幼なじみといえる人はいないが2歳年下の花怜という少女がいる。花怜の両親は二人とも軍人である。
2人以外に子供はいるがまだ乳児だ。
たった2人での誕生日会というものは寂しい...罘互はそう思う。
花怜は罘互の顔をみて必死に場を盛り上げようとする「あ、そういえば今日満月なんだよー。一緒に見に行かない!?」
罘互は花怜に気をつかわせていることに気付く。「よーーし、見に行こうか。何時にする?」
「まだ、時間あるけどこのまま一緒にいこーよ。」
「おけい。見えるといいね。」
「別に見えなくても一緒に行けることが嬉しいな。」
罘互はスルーした。「まだまだ時間あるな。どうする?」
「誕生日会続けよー。まだ料理あるし。」
「あー、食べきれないな。この量...」
「人間そこで諦めたら、そこで終わりなんだよー。私は食べるよ!」
「わかったわかった、食べればいいんだろ。無理すんなよ。」
1時間後、彼らは力尽きた。
「もう無理、絶対無理、食べきれないー!」
「花怜が食べろっていったくせに。」
「食べろとは一切言ってないよ。まず罘互が作りすぎるからわるいんだよー。」
「母さんが帰ってくるって言うから多めに作っておいたんだ。」
「3人分の量ではないと思う。」
「ごめん、ちょっと作りすぎたかな」
罘互は残った料理を見つめなかがら少し反省する。
南極大陸での暮らしは決して不自由なものではなく、寒い以外には困ることは特にない。
罘互が窓から外を見ながら言う「そろそろ外に出てようか」
「待って、動けない...」
「じゃあ1人で行ってくるね」
「やっぱ行くー。ちょっと待ってー。」
2人は家の屋上に向かった。
「今日ほんとに満月の日だった?どうみても三日月だよね?」
「あれー、おかしいなー。今日だった気がしたんだけどなー。」
罘互は呆れたが、月をみてるとどうでもよく感じた。
「花怜、誘ってくれてありがとう。満月じゃなくてよかったかも。」
「い、いや、私も一緒にこれて嬉しいよ。」
罘互はスルーした。
すると、港の方に光が見えた。そして爆発音が聞こえ、地面が揺れた。
「えっ、なに、攻めてきたの?、うそ、罘互どうしよう?」花怜は今までみたことがないくらいに動揺していた。
「シェルターに避難しよう。きっと大丈夫。今の人類は絶対負けない。」
2人は家の中に戻り、階段下のシェルターへの道を進んだ。
シェルターは筒のような形で深さ5km、直径3kmあるため大抵の爆発ではびくともしない。南極大陸の人口約2倍が生活できるほどの大きさだ。
「まだママとパパが来てない...」花怜の両親は軍人なのでここには来ない。
「花怜のお母さん達はビディスと戦っているんだよ。すぐに倒してここに来るよ。だから大丈夫。」
「罘互のママは来ないの?」
「母さんは大丈夫。母さんの研究所は頑丈だから大丈夫なはずさ。」
罘互は思ってもいないことを言った。
シェルターにいる人々は最深部の方にいるため地上の音は全く聞こえない。
地上から人が1人降りてきた。服が多少汚れているが、ケガはない。
「ビディスは去った!」と叫んだ。
人々は最初、人類が初めてビディスに勝利したと思い、喜び、叫んだ。
すると降りてきた男が「我々はまたしても負けたのだ。」と叫んだ。
人々は一瞬なにが起きたのかわからなかった。
「ビディスはなにが目的なのかわからないが、港を破壊し、如月博士を連れ去っていった。23人の仲間を失った。」
罘互の本名は如月 罘互。連れ去られたのは罘互の母親だ。
自分をたった1人で育ててくれた母親を失った。
悲しみというより、怒りがこみあげてきた。絶対に母さんを取り戻し、ビディスを殲滅させてやりたいと思った。
たが、罘互は泣いていた。そんな自分をみて、自分の両親の安否がまだわからない花怜が「大丈夫。泣かないで。」といってくれた。