予防
青年は、YouTubeにアップされたある動画を見ていた。
それは、つい1時間ほど前の小海都知事の会見映像である。
この動画を見て、青年は、自らが住んでいる千葉県の方向に向けて、東京からの列車が進行していることを知った。
そして小海知事は動画の中で、その列車について、
「都内の病院で受け入れることができなかったコロナ重症者を、都外の病院で治療するために緊急搬送するための列車なのです」
と説明していた。
千葉県では、コロナウイルスはそこまで流行していない。それにもかかわらず、ロックダウン中の東京から、感染力の高いコロナ重症者が千葉に来ようとしているのである。
それは青年にとってどうしても許せないことであった。東京はいつもそうだ。自分たちだけが繁栄を享受して、いつも「ゴミ」を千葉に押し付けてくるのだ。
あまりにもふざけている。
レールが軋む音に反応し、青年は顔を上げる。
Twitterで見たオレンジ色の「貨物列車」がこちらに向かって近付いてくる。
青年は、先ほど拾ってきた大きな岩を持ち上げると、それを線路に置いた。
かなり大きな岩なので、相当目立つ。ただ、コロナに頭を侵食された東京の人間は、きっとこの岩の存在も気付かないまま突っ込んでくるに違いない。あいつらは脳みそまでコロナに侵されてるから。
「俺が千葉をコロナから守るんだ」
青年がその場を去ってすぐ、青年の背後で大きなクラッシュ音が聞こえた。
(了)
本作をお読みいただきありがとうございました。
基本的にミーハーなので、その場その場で流行っているものを追いかけたいタイプです。
元々「ダイヤモンドプリンセス号」のニュースがあったときに、「ダイヤモンドプリンセス号の殺人」を書こうと思ってたのですが、構想を練っているうちに機を逸してしまいました。
とはいえ悲しいことにコロナの話題が消えなかったので、コロナをテーマに短編を書けないかと思い、同人誌作家(だと僕は認識してる)の妻に相談しました。
妻と話しながら、うーん…こんな感じかなと、30分くらいで練ったプロットが本作のプロットです。そして、翌日に全て書き切りました。
うまい、安い、早いがモットーです。
自称ミステリー作家なので、パニックものを書いたところ、なんというか、世にも奇妙な物語みたいな感じになってしまいました。それはそれでありだと思ってくださる方がいてくださることを願います。
皆様のご支持のおかげで、本作はパニックジャンルで日間4位をいただくことができました。
日間5位以内に入れさせていただいたのは、推理、コメディー、エッセイ、童話に引き続き5ジャンル目です(たしか)。
次に狙うのはR18あたりですかね←ぇ
本作を少しでも気に入ってくださった方に、ブックマークや評価をしていただけるとありがたいです。なろうの仕様が変更し、評価は文字通りワンタッチで送信できます。
また、作者としては、自称ミステリー作家として、本業の推理作品を読んでいただきたいです。
代表作として「殺人遺伝子」という年間ランキング4位まで入った推理小説があります。また、本作同様の「飛び道具」として、「小説家になろう殺人事件」が少しバズりました。
あと、個人的には、本作と同日に完結した「ANME〜僕と彼女ともう一人の「彼女」〜」が問題編5万2000字に対して解決編が3万5000字という超絶伏線回収の自信作なのでお読みいただきたいです。
今後ともご愛顧よろしくお願いします。




