97話
「それよりもさっき肩を掴まれた時、手で払い除けたよな、どうしたんだ?」
「べ、別に何もありませんが? じゃあ、私は仕事に戻るので――」
「服に血が滲んでるぜ」 その一言に慌てて、彼女は肩を見る。
血は滲んでいると言ったが何処にとはアタシは一言も言ってない。
肩を見るという事はつまり……
「昨日、アタシの邪魔をしたのはアンタだってことだよな?」
「急に何のことですか?」
「泣けるぜ…… とぼけんじゃねーよ。 じゃあ何で肩を見たんだ?」
「そ、それは……」
「まぁいい、必ず暴いてやるからな」 ギルドを出てアタシは露店で軽食を済ませる頃には夕刻に差し掛かっていた。
この時間になると酒に酔った冒険者や住人たちが多くなり、アタシも帰って店を手伝う為に店に向かう。
(ん!?) 一瞬ではあるが誰かに殺気を向けられたように感じ、辺りを見回し、人込みをかき分け、走るとアタシを追ってくる人が見えた。
(なんなんだよ一体) 娘蝶館での一件がもうバレたのかと、走りながら考える。
人気のない広場に付き、バッグに右手を入れ、魔法を発動し、構えて敵の動きを待つ。
横一線の斬撃を銃で受け止め、金属同士のぶつかる音と細かな火花が散り、力を左に逸らし、その勢いで相手の胴に蹴りを入れる。
よろめいた隙にトリガーを引いたまま撃鉄を叩く、六発の銃弾が命中するが甲高い音から大半が盾に当たったと考えた。
相手から離れ、バッグから再装填して対峙する。
月明かりに相手を照らされ、見えたのはアタシが最初にパーティーに誘ってくれた人物。
それはギルドマスターからの指示で最後にアタシを裏切った奴だった。
「あら、久しぶりね。 とっくに死んでいたかと思ってたわ」
「ギルドマスターのとこでよろしくやってたんじゃねぇのか?」
自慢するようにアタシに見せつけて来るその剣には以前にはなかった赤い魔石が装着されていた。
あのおっさん(ゲイン)に貢いでもらったのかは分からないがアタシには脅威に映る。
「無駄話までしてずいぶん余裕じゃねぇか。 なんでアタシを殺そうとしてるのかは知らないが…… 今日、死ぬ予定は無い」
「いいえ、あなたは今日ここで死ぬのよ!」 魔石が光り、剣には炎を纏いアタシに切りかかるのを飛んで避け、背後から撃つが盾により弾かれる。
「無駄よ。 そんな三流の魔法で私は倒せないわ」 これまでの特訓の成果で、何とか剣を避け撃つが、盾や剣によって弾かれ、一向に弾が命中しない。
トリガーを引くがカチリと音と共に弾丸が発射されず(しまった!) と弾切れにに気が付いた時には遅く、身体が大きく後ろに飛ばされる。
間一髪で避ける事が出来たが、完全とはいかず。
アタシは切られたところから熱く焼ける痛みを堪え、立ち上がる。
「もう諦めなさいって言っても聞かない人だったわね」




