86話
今日はアタシにとってここで初めての休日となった。
と言っても何をするわけでもなく、コーヒーとタバコを消費して過ごすのも勿体なくて
いつものように鍛錬に勤しむ。
「ハァ・・・・ ハァッ・・・」 何度撃っても昨日の様に早く打つことが出来なかった。
木陰に座り込み、自身の魔法を見る。
問題点は色々あるが今回は弾丸を発射するまでの早さについてだ。
この魔法は弾丸を入れ、撃鉄を起こし、トリガーを引く、この動作はどうしても時間が掛かる。
弾丸は6発撃ち尽くすまでは装填出来ない、6発以上入れようとすると弾丸がすり抜けて落ちた。
じゃあ、弾丸が沢山入った袋に手を入れて魔法を発動すればと思い、弾丸を入れた中で魔法を発動すると見事に6発の弾丸が銃に納まり、これで1発ずつ入れる必要はなくなった。
次に弾丸を発射するまでの手順だ。
1発ずつではなく、連続して発射するにはどうすればいいのか、実際に何度かやっては見たが、撃鉄を起こさなければトリガーを引いても撃鉄はそのままなので、弾丸は発射されなかった。
トリガーを引くことで撃鉄が元の位置に戻り銃内部で爆発の魔法が発動し弾丸が発射される。
じゃあ、逆にすればどうなるか……
トリガーを引きつつ、撃鉄を叩くように起こすと起こしたまま止まることなく、破裂音が響き弾丸が発射され、確信を得たアタシは銃を腰に構え、撃鉄を叩き続けると残り5発の弾丸が放たれた。
(や、やった) 嬉しさに拳を上げ喜びを表現する。
弾丸が的に当たっているか近づいてみると世の中はそう甘くないみたいで5発中1発だけ的を掠めただけで、スキル(鷹の眼)を使えばある程度は命中するかもしれないが、アタシの魔力量から考えれば自殺行為であることは明白。
結局、練習して命中率を上げるしか方法はなかった。
その後は日が暮れるまで休憩を挟みながらひたすら銃を撃ち続ける。
より早く、より正確に的を撃ち貫けるように次の日もその次の日も訓練を続けていく。
「ほぉ、段々と様になって来たじゃねぇか」
「そうだろ」 得意げには言っているがこの日の訓練で何とか6発中3発を的に命中させることが出来たがアタシが目指すのはスキル無しでの正確無比の射撃をやる事でまだまだ先は長い。
「あ、いらっしゃーい!」 今日は夕飯を食べにメルさん達が店に来てくれ、レミルは久しぶりの外食に心を躍らせているようで「レミル、走るんじゃ無いぞ」 とダナンさんが注意する。
「そのくらいわかってるよ。 あたい、子供じゃないもん」 頬を膨らませる姿にどこか心が癒される。
「ブロンディこの前はすまなかった。 俺が余計なことをしたからあんなことに」 ダナンさんの謝る姿を不思議そうに見るレミルを撫でながら「別にアタシは何ともないから大丈夫。 その代わり、今日は店でいっぱいお金を落としてくれたらそれでいいよ」 と言いアタシは仕事に戻った。




