表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/123

82話

相手の顔を睨み付けると、そこにはダナンさんが何も言わずにアタシを見て頭を撫でるとカウンターの椅子に座らせ、奴らのテーブルに向かい「さっきから聞いてりゃ 胸糞悪りぃ根も葉もない噂話しやがって」 と彼らに恐れる事無く抗議する。



「あぁん!? 何だこのおっさん」


「僕ら何か悪い事でも言いましたか? それにあなたに関係があるのですか?」


「あぁあるさ、俺の娘はお前らがその馬鹿にした奴に助けられたからだ。 そいつの事を悪く言う奴は俺が許さねぇ!」 周りの客に「まぁまぁ、おやっさん」 と宥められるが「俺は何も悪くねぇ」 と踏ん反り返る。


 呆気にとられる彼らは「門兵のクズが僕達に意見するなんて言い度胸ですね。 この風の国の勇者の僕に向かってそんな口をきいていいのですか?」 と開き直るだけだった。

 ダナンさんは怯むことなく「ハッ風の勇者様だろうが品性に欠けるな。 そこの女共もバカな面してねぇでちゃんとお守りでもしろ」 その瞬間、風の勇者はナイフを取り出し、切先を向け「僕の仲間に手をついて謝ってください。 そうすれば許してあげます…… 今なら」 仲間も同じように武器を手に取り、周りは騒然となる。



「おっさんが出しゃばりやがって」


「そうそう、謝るなら今のうちですよ」 と金髪や女戦士も剣をちらつかせ脅しにかかるが「ヘッそんな気はないな」 と強気の姿勢を崩さない。


「死にてぇようだな!」 女戦士が大剣を振り上げる。

 アタシはナックルダスターを付け、椅子から飛び出し、振り下ろされた大剣を防ぐようにしてダナンさんの前に立つ。

 金属同士がぶつかる音が店内に響き、砕けたナックルダスター落ち、店内が静まり返る。



「嬢ちゃん、すまねぇ、俺が余計な事を……」 そうは言うがさっきの事がアタシにしてみれば嬉しかった。

 だから、その人を傷つけようとする奴は誰であろうと許せなかった。



「過ぎた事だからさ、それよりもありがとうな」


「てめぇ、邪魔しやがって」 大剣に力が加わり、鮮血が床に落ちるが幸いにも全身に流した魔力が防御の役目をして指ごと全部斬られる事は無かった。


「世の中には…… 2種類の人間がいる。 命を大事にする奴と粗末にする奴」 大剣を上へ押し上げ、胴に魔力を込め体重を乗せた拳で叩くとカエルのような鳴き声が聞こえ、続けて胴に蹴りを押し込むが足を掴まれ投げられる。



「訳わかんねぇ事言いやがって! 覚悟は出来てんだろうなぁー」 


「出来てるよ」 ポケットに手を入れ、魔法を発動し、立ちあがり左手を右腰に構える。。

 女戦士達が剣をアタシに向けた時「まぁまぁ、僕たちは風の勇者です。 一般人を殺せばそれなりには問題になりますよヴェルマ」 女戦士に近づき剣を下させた。


「わたしらコケにされたんだよ」 金髪もわがままな子供の様に意見するが「アンデも気持ちは分かるけどここは酒場だよ」 と近づき、顎を撫でられ、赤面し「しょ、しょうがないなぁ ビエントが言うなら」 と剣を収める。



「そちらのお嬢さんもごめんね。 僕の仲間が迷惑をかけたようで」 アタシに近づき、謝罪をされたが、それとは別に噂の張本人であると言いたかった。

 が、これ以上の揉め事を回避する為に腑に落ちないが何も言わずこの場を収める。


「アタシの事はどうでもいい。 アンタんとこの、気性の荒い姉ちゃんが殺そうとダナンさんに剣を向けた事についてはどうなんだ?」


「彼は僕らを侮辱した。 それくらいは当然の事だと思うよ。 殺されなかっただけマシと思ってほしいけどね」



 謝罪なんてする気はない、要は風の勇者に逆らったから当然で慈悲深い僕たちに感謝してもいいぐらいだろうか……

 あまりのも横暴な言い分に怒りが込み上げるがタバコに火を点け落ち着く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ