6話
毎日、投稿するって難しいですが、頑張って書き進めていきたいと思います。
奇妙な夢を見た。真っ暗闇の中、蝋燭の道に導かれ、誰かが歩いている。
淡い明かりに照らされ、それは高齢の男性で何でこんな所に……
しかも、見たこともないような服を着ている。
全く知らない人。だけどそれだけじゃないような気がする。
「?????!!!!」
あたしは声をかけようとしたが声は出ず、眺める事しかできなかった。
その間にも老人は宙に浮かんがドアの目の前に立ち、ドアに手をかけ……
朝日が昇り、暖かな光が身体を包み、ゆっくりと目を開ける。
目は覚めてはいるが奇妙な感覚がいまだに残っていた。
気持ちが高ぶっているからこんな夢を見たんだと……
あたしはそう思うことにした。
川の水で顔を洗い、身支度を整える。
鎧は左腕と胸、右手ぐらいしかまともに使えそうにないが装着する。
こんな鎧でも無いよりかは遥かにマシだ。
油をしみこませた縄を瓶に詰め、火打石と共にバッグに入れ、準備は完了。
「さて、出発しますか」
今日でこの秘密訓練所を見るのは最後かもしれない。
立ち去る前に訓練所に「おせわになりました」とお辞儀をして別れを告げた。
禁忌の森までは歩いても、そう遠くない距離だ。
地元の住民ならすぐに行ける距離。
ここからは全くの未知の領域、今まで、村で安全に暮らしてきたあたしにはあまりにも無謀とも言える事をしようとしている。
でも足を止めることはできない。
妹を助けるた為に……
「ここが禁忌の森……」
あたしは禁忌の森に着き、恐怖を乗り越え足を踏み入れる。
もうここは、いつもの森とは違う。
そうここには……
「ピギィィィィィ」
モンスターがいるのだ。
「この斧を試すのにちょうどいいか」
初めて対峙するモンスターがスライムなんて、どこかのおとぎ話みたいで、あたしは勇者になった気持だった。
「さて、どうしたもんか」
相手を見て、じりじりと自分の間合いまで寄り、一気に斧を振り下ろし、「ぶぎゅ」と音と共にスライムを真っ二つにした。
呆気なく力尽き、地面に二つの水たまりを作り、動かなくなった。
『やった!』とあたしは初めてモンスターを倒したことに喜ぶ。
魔法なんか使えなくてもこのくらいの事はできる。
自信が体中に沸き上がり、うれしかった。
「さぁて、倒したスライムはっと」
スライムを倒した場所を見るとその姿はなく、探そうとした瞬間、顔面に水をかけられたような感覚と同時に息が出来なくなった。
「!!!?!」
スライムが生きていて、あたしの頭部を覆っていたこ事に気づくが、後の祭り。
苦しさのあまり、地面に倒れ、擦りつけるも一向に離れる気配がなく、暴れるたびに苦しさが増してきた。
手で掴もうとするも弾力で歯が立たず。
どうする事も出来なかった。
(こんなところで……)必死に考えるも打開策が見いだせず、このまま、死んでしまうのかと恐怖が心を真っ黒にし、後悔と不甲斐なさで一杯になる。
(ケイト…… グェル……ごめん)
あきらめかけたその時「!?」口の中に何かが入ったような違和感を感じた。
何かはわからない、どうせ死ぬなら一矢報いてやるとその塊を思いっきり噛み砕いてやった。
『びぎゅ』と言う声が聞こえ、顔からスライムがドロリと流れていった。
ぬるぬるとベタついた粘液の不快感よりも、助かった安堵感が勝っていた。
噛み砕いたものを吐き出すと白く濁った塊が地面に転がった。
おそらく、スライムの核の様な物だろうか?
噛み砕いた後の事を考えると、おそらく当たりだと思った。
「あ、あぶなかった」
油断もいいとこだ。
現実はおとぎ話の様にうまくはいかない。
魔法であれば、爆発させるか燃やすかで、核そのものを消滅させるか、武器で細切れにする。
極めて初歩的なことを忘れていた。
魔法が使えないあたしは後者をするべきなのに怠った。
一歩間違えば自分が死ぬことに改めて気が付き、震えた。
「はぁ…… はぁ……」
恐怖から少し混乱し、ともかく落ち着くために深呼吸をする。
鼻から呼吸し、ゆっくりと息を吐く。
何度か繰り返すうちに落ち着き、体の震えが治まる。
(グゥゥ)と空腹があたしのお腹を鳴らす。
あたしは食べられそうな木の実を食べ飢えを凌いだ。
そして本来の目的を思い出す。
『妹を助ける』