62話
ギルドについたころには日は落ち、ギルドにはセシールさんとゲインが難しい顔をしてアタシを見ていた。
「信じられない」
「そうは言っても、現にこうして狩って来てるからなぁ」
ボロボロの毛皮を見れば確かに疑わしいのは理解できるし、こんなのは死骸からだって剥ぎ取る事は出来る。
疲れで食い下がる気力もなく、ただ黙って事の成り行きを見守るしかなかった。
「ボロボロになった理由が、ブラックハウンドに襲われたからって言うのも…… それにあなたが倒したって!?」
「で、他の冒険者に奪われたねぇ」
「嘘は…… 言ってない」
「まぁいいじゃねぇか、ハウンドは狩って来たみたいだし、資格くらい出してやる。 俺が許可する」 と冒険者の証である紐の付いた鉱石を投げ渡され受け取る。
不服そうなセシールさんをよそに、ゲインに礼を言い立ち上がると足がおぼつかず、倒れそうになる。
「明日、もう一度試験を行います」
「お前もしつこいねぇ」
「冒険者を見極める責任がギルドにあるわ。 こんな資格ですら、お情けで貰って、この先やって行けるのかしら? あなたはそれで納得するの?」
確かにセシールさんの言う事は正論だ。
資格ですらお情けで貰うようではアタシに務まるはずがない。
そうなれば相手を納得させるだけの実力を見せ、資格を勝ち取りに行く。
それにアタシもこんなお情けで資格を貰いたくはなかった。
「その試験、受けて立つ」
「じゃあ、明日の朝、ここに来なさい」
アタシは頷き、その場を離れ、ギルドの出口を目指す。
適当な宿でも探し、今は少しでも身体を休めたかった。
「あなた、今夜、泊まる当てはあるの?」
「まだ――」
「はぁ…… そんなクタクタで外に出るなんてカモにされるわよ。 宿泊だけならここを貸すわ。 料金は後で請求するから」
「お、優しいねぇセシールちゃん」
セシールさんからの願ってもない助けを受け、鍵を貰ったアタシは宿泊所の案内を受ける。
案内された部屋は机とテーブル、簡易のベッドだけが置かれた質素な部屋だ。
セシールさんからは明日、魔法が使えるかどうかの簡単なテストをする事を伝えられ、「これは一旦預かっておきますね」 と冒険者の証を渡すように言われそれに従う。
「よろしい。 じゃあ、お疲れさま」
「宿の件はありがとうございます」
「お礼なんて良いわ。 それより血の臭いがひどいわよ。 せめて綺麗にしてから来て」 と念を押され、ギルド内の湯浴みの場所も教えてもらった。
アタシは部屋に鍵をかけアタシは構わずベッドに横たわる。
少し、埃臭いのが気にはなるが一度目蓋を深く閉じ、そのまま眠りについた。
翌朝にはぐっすり寝たからか、昨日の疲労感はほとんどなく、湯浴みに向かう。
湯を浴び、すっきりした身体でギルド内の購買でパンとスープを買い流し込む。
いささか足りないが、腹八分目と言い聞かせて、受付に向かう。
キリっとした出で立ちのセシールさんに挨拶し、さっそくギルド内の演習場にてテストを行う事となり、案内される場所に付いて行く。




