51話
暇な時は弾作りか、こうして外で練習する事が日課となっていた。
(誰も居ないよな)
辺りを見回し誰も居ない事を確認した後、右手に魔石を握り、魔力を集中する。
軽く右腕が痺れ、ほのかに魔石は熱を帯び温かくなり、右手に魔力で拳銃が作り出された。
ポケットから弾を出し銃の中に入れ、撃鉄を下ろし、狙いを定める。
引き金を引くと破裂音と共に発射された弾丸は人型の板の肩の部分に当たる。
どうも洞窟で戦った時の様に、狙いたい場所が手に取るような感覚が出せなかった。
一通り弾を撃ったが、上手くいかず、諦めて屋敷に戻るとアンチリアに呼び止められた。
どうやら後で服の採寸をするらしい。
どんな人が来るにせよ男でない事を祈るばかりであった。
アタシは買い物の帰りでの事があって以来、男を見ただけでも、恐怖心の様な物があり、その事を誰にも言うことが出来なかった。
憂鬱な気分を紛らわそうと、部屋でタバコを吸う為、廊下を歩いていると「ぶろんでぃ」とカトゥラがアタシを見つけ、飛びついてきた。
「アタシは疲れてるんだけど」と言うと「まだ何も言ってないよ」と両頬を膨らませる。
ついつい、頭を撫でてしまいそうになる。
「何の用だ?」
「今日は暇だから遊んでおねが~い」
気晴らしになるかと思い、部屋でカトゥラの話を聞いて時間をつぶす事にした。
アタシが寝ている間にギャロンの葬儀やら何やらで忙しかったらしく、アンチリアから頑張ったご褒美をもらったのが嬉しかったらしい。
にこにこと笑うその顔にアタシもどこか嬉しくなる。
コンコンッとノックの音が聞こえ、エイディさんがアタシを呼ぶ声が聞こえた。
緊張が走り、ゆっくりとドアを開けるとそこにはエイディさんと共にグエルが立っていた。
アタシはとっさにドアを閉め、深呼吸をする。
バクバクと心臓がなり、胃の中からこみ上げそうになる感覚が襲い、手が微かに震え、呼吸が速くなる。
タバコに火を点け煙を吸い込み吐き出すと少し落ち着いたアタシはカトゥラに伝言を頼み部屋の外に出した。
「ぶろんでぃが出たくないって」
「カトゥラちゃん、一体何があったの?」
「知らない、でもぶろんでぃが凄く怖がってた」
「怖がっていたってどう言う事だ!?」
「それは……」
(怖がっていたかぁ……)
扉の前で気分は滅入り、頭を抱える。
どうして自分がこうなってるのか分からない。
今の今まで男と話す事何て、あの時から、何度かあったけど何ともなかったのに今になって襲われた時の事をついこの間の様に思い出される。
「おい!」
聞いた声にびっくりして固まってしまう。
アイツになんか話せない、付き合いは長いがこんな事を話せるわけがなかった。
「な、何の用だよ……」
「仕事でここに来たんだがな」
精一杯強がって「仕事?」と惚けるがアタシの服の採寸であることは知っていた。
でもこんな弱い姿を見てほしくは無く、誰かほかの人にしてくれと頼むが「何かあったんだな」と答えられた。
「何にもねぇよ」
「他の奴から聞いたんだが村を出るのか?」
「あぁ、知ってるだろ? アタシの噂」
「別にそれが何だ? 服を作ってくれと仕事を頼まれ、俺はそれを受けた。 それに今日ここに来たのは、もう一つお前に用があったからだ」
「アタシは何にも!?」
「あと、すまなかった」
「何が…… だよ」
「お前の事を守ってやれなかった」
「別に謝る事はねぇよ」と煙を吐き出し、扉に背を預けゆっくりと座る。
タバコの成分なのか吸っていると鼓動が少しづつ落ち着いていく。
短くなったタバコを小瓶に入れ、新しいタバコに火をつける。




