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50話

 自分にはどんな衣装が似合うのか。

 服なんて考えたことが無かったので、まずは着たくない服を考える。

 アタシの気質なのかどうもスカートが動きづらく、特に寒さによる足の冷えが嫌で堪らなかった。

 後は動きづらさや相手を蹴り飛ばす時にスカートの中が見える事が多々あったし、

 これを機会にズボンにしようと考えて項目に入れる。




「ブロンディの意見も聞きたいところね」


「そうね。 なんたってあなたの服ですものぉ」


「何か意見はありませんか?」と言われ、それぞれのデザインを見るとスカートや露出の多さが目立つデザインが並び、「せめてスカートと露出はやめてくれ」と話し、アタシのさっきの考えを伝える。



「せっかく、かわいいのを考えたのに?」


「確かにかわいいけどアタシの趣味じゃねぇよ」



 この前の戦闘で嫌と言うほど傷を経験すると露出の多さ、動きやすさに疑問が出てくる。

 エルフなど他の種族は形は人でも身体の性質がまるで違うからあの服で成立するがアタシはただの人間で傷は出来るし、寒さにだって弱い。

 服に魔法の寒さの耐性を加えるのもいいけど冒険者は人格者ばかりではない。

 不用意な露出で相手を刺激するのは魔法が未熟なアタシの命に係わる。

 数日前の事を思い出し、いくら鍛えていても本気になった男に対してはどうしても力不足なのは明白だったと改めて思う。



「なら、あなたの魔法に合わせた服はどうかしら?」


「アタシの魔法かぁ……」



 ミラがアタシの魔法の話になるといよいよ分からなくなる。

 あの悪魔曰く、弓兵に近いとだけしか聞いていなかったが、考えてみると弓を使わずに魔法で物体を射出するなんて聞いたことが無かった。



「それにしても不思議な魔法を使うのね~」


「対峙した私ですら驚きました。 どう言う原理ですか?」



 そりゃそうだ。無理ない。

 アタシだって存在は理解してるけど、この世界に存在していない物を魔法で再現して使っているのだから説明のしようがなかった。


 魔術書を思い起こすとページにはこう書かれている。



 ■■■■

 コルト・ネイビーM1851 コンバージョン ・モデル

「弾丸LV2」

「鷹の眼LV1」

 なんて書かれていたが肝心な部分は黒く塗りつぶされていた。



「仕方ないですわ。 とりあえずは弓使いと仮定してデザインしますわね」


「お嬢様。 やはり、メイド服のデザインは外せません」


「やっぱり動きやすくスカートも短めに――」



 さっき言ったことを理解してるのかどうかはさて置き、アタシは窓辺でタバコを吸う事にした。

 いつの間にか、暇さえあればタバコを吸う癖がついたようで、考えがうまく纏まっていく気がする。

 すると魔術書のページが開き、イメージが流れ込んできた。

 本の1ページに人の絵が浮かび上がり、そこには見たことの帽子を被り、マントの様な物を着け、ブーツを履いた人物が浮かび上がる。

 アタシが求めていたのはこれだと一目で惚れ込んだ。

 見たことの無いデザインだがアタシの理想がそこに描かれていた。

 各部分の材質が事細かに記載され、アタシはペンを走らせ、タバコが4本目に突入する頃にはへたくそな絵だがデザインが出来上がった。



「いいわね。 そのデザイン」


「笑うなよ。 絵は苦手なんだ」


「あら、チェスカちゃんも書いたの?」と言われ、見せると「かっこいいデザインねぇ~ 気に入ったわ。 どうかしら、アンチリア?」 「意外でした。 もっとひどい物かと思いました」と以外にそこそこな評価でそれを基に、エイディさん達と一緒に話し合いながらアタシの衣装が決まった。



「これでどうかしら?」



 鍔が真っ直ぐな黒い帽子、裏地にボアのついたベスト、黒のズボンに

 柄のついたマント、茶色のブーツがそこに描かれていた。

 シンプルなデザインにアタシは気に入り、そのまま頼むことになった。



「で? アタシはお金なんか――」


「お金は出世払いでいいですわ」


「なんだ、タダじゃないのか?」


「当たり前じゃない。 材料だってタダじゃないわよ。 アンチリア仕立ての依頼をしに行くわ。 出かける準備をしてくれるかしら?」


「承知しました」


「あんまり、高くするなよ」



 この言葉の後、さっそく、ミラは出かける準備をし、アンチリアとエイディさんを連れて部屋を出た。

 一人になったアタシは外の空気を吸いに行くついでに、屋敷の庭で魔法の練習をすることにした。

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