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49話

綺麗な赤い液体が揺れるたびに香り、飲酒が促される。

「あなたの門出に」と乾杯し、意を決してグラスの中身を飲み干す。

 アルコール特有の風味に少し咳き込むがミラはスルスルとグラスを空にしては注ぎを繰り返す。

 2杯目のアタシは慣れないワインにチビチビと呑み、3杯目から慣れてきたのか少しペースが速くなる。



「さすが、お父様の秘蔵の品ね」と上機嫌で飲み干すミラを見て、値段の事を考えてしまい少し酔いが醒める。



「怖気づいたのかしら?」


「そんなんじゃねぇよ」


「とことん飲みますわよ」キュポンっと軽快にコルクを開け早くも2本目に突入する。

 のを見ているとコンコンッと音に「失礼します」とアンチリアが部屋に入り、テーブルにチーズや肉の料理、追加のワインを並べる。

 酔ったからか身体が求めたからなのか、並べられた料理に自然と手が伸び、呑んで食べて、肉のうまみがワインによく合い飲酒を加速させいた。



「ふぅ、そろそろお開きかしら」


「おなかいっぱいって良いよなぁ~」


「お嬢様、例の服が出来上がりました」と布の包みをミラに手渡す。

「あら、出来上がったのね」と包みをミラから受け取る。

 中身はアタシが頼んでいた品が入っていた。

 これに関しては数日前に遡る。

 ・

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 ・

 ・

 ・

 数日前



「この村を出るですって?」


「あぁ、この村にはもう未練はないから……」



 ミラの屋敷に運び込まれて翌日の事だ。

 遅かれ早かれ、村にアタシの噂が広がるとここに居てはミラやエンディさんに迷惑がかかる事は明らかだった。



「出るって何か装備の準備はしているのかしら?」


「一応、考えているんだけど――」



「まったく、あなたってほんと行き当たりばったりよね。 どうして先の事を考えないのかしら?」と呆れたようにミラがため息をつく。

 最初に禁忌の森に行った時みたいに魔法が使えないわけでは無い。

 大きな町に着くことが出来たらギルドに登録して日銭を稼いで暮らす事ぐらいは考えてはいた。



「考え直す気は無いのよね」


「あぁ、アタシが居たんじゃここに迷惑がかかる」


「いいわ、どうせ言っても聞かないなら、精一杯の準備をしましょ」



 ミラがそう言うとさっそく机から紙とペンを出し、アタシの前に座る。

「わたくしがあなたの服をデザインしますわ」何て言って張り切っているがメイド服か普段着しか着ないので何が似合うのかさっぱりだった。



「おいおい、別に冒険者になるわけじゃ――」



「いいから、わたくしの言う通りにしなさい」と押し切られ、椅子に座らされた。

 仕方がないので、アタシはタバコを吸いながら、ゆっくりと出来上がりを待つ。


 そんなことを考えているうちに妹のエイディさんやアンチリアが参戦し、機能性や材質と着るアタシを置いて話が盛り上がる。



「紙とペン借りるからな」


「えぇ、よろしくてよ」


(さて、どうしたもんか……)

 そんな盛り上がりに、いまいち付いて行けなかったがアタシも暇つぶしに描いてみる事にした。


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