47話
その夜、村の集会所は老若男女問わず不安に賑わい目の前のアタシに視線が集中する。
その中には薪を売っていた時の顔見知りが何人かいた。
「では、今回、禁忌の森であった事をお話します」とエイディさんが話を始めるとざわつきも収まる。
アタシも手に力が入り手の平から汗がじんわりと感じる。
話としてはギャロンが良心にかられたが時すでに遅く、娘達を追って禁忌の森に足を踏み入れた後に、守り神の正体はモンスターであったと知り、戦うも相討ちとなったと説明された。
これについては事前に話した通りにエイディさんが上手く話してくれていた。
「じゃあ、チェスカが二人を連れださなければ、村長が死ぬことはなかったんじゃないか!」
「えぇ、しかし、お父様は過ちを認め、正そうとしました。 それにチェスカさん自身も大切な妹の為に言われたとおりにするしかなかったのです」
「アタシはギャロンさんに救われた。 だから――」
「汚らわしい女!」とミラの金魚の糞の一人がアタシに投げかけたのを合図に口々にアタシに罵声を浴びせる。
「悪魔と契約したって噂で聞いたぞ! それで村長を誘惑したんだ!」
「今すぐにでも然るべきところに連絡して――」
他種族が形だけでも共存するようになっても、魔族との契約は汚らわしい行為と考えている人が多い事は分かっていた。
激情したアタシが思わず言ってしまったことが原因で犯したミス。
だからこそ継母がそれをばらし、アタシに追い打ちをかけたのだった。
いつか、この借りは返すつもりだ。
「静粛に! チェスカちゃん、説明をしてください」と言うと少なくとも罵声は止み小声でコソコソに変わった。
「今回の村長に対して、何かをしたという事実はありません」と書いている通りに話す。
「嘘をつくな!」「この村を出ていけ汚い売女め!」と罵声が続く。
一人の男が立ち上がり、「避けて!」とミラから聞こえたと同時に何かがアタシの頭部に当たる。
右側頭部を押さえ、手の平を見ると血が出ている事に気付く。
「今、石を投げたのは――」激高したミラが前に出るのをアンチリアが止めに入り、アタシは痛みに耐え周りを見るとここに集まった村人の誰もが何かを叫んでいる。
エイディさんが駆け寄り布をアタシの額に当てる。
ここで泣いてはいけないと堪え、見据える。
「アタシが何も出来ないと思っていい気になって――」
一瞬、殺意を感じ、左手の弾丸を弾き、そのまま右手の魔法が発動させ、弾丸を装填し、弾いた流れで撃鉄を下ろし、トリガーを引き弾丸が発射される。
弾丸は村人の持っていた石に当たり、砕け散り後ろに倒れ込む。
「うぐぅぅぁぁぁっ」呻き声だけが辺りに響き、ポタポタと血が広がり、痛みに蹲る男の周りから人が離れる。
「早く手当を!」と他の村人が男を運び、残った村人はアタシに罵声を浴びせる。
血を袖で拭き取り、弾丸を1発装填し、アタシは銃を上に向け、天井にむかって打ち鳴らした。
銃声は見事に邪魔な声をかき消し、驚いた村人はアタシを見て静寂する。




