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41話

相手もナイフを抜き構え、戦闘態勢に入った。

 ここからはどちらが先に抜くかが勝敗の決め手となる。

 向こうが早いかこっちが早いか……

 風の魔法を使うか、それとも弾丸を避けて切りかかって来るかの、どちらにせよ相手を無力化する必要があった。

 集中し相手の隙を伺う。


 狙うは一発必中と心の中で唱え、その時、腕輪を撃った時の様な感覚が冴えわたる。



(これならいける!)



 アンチリアが動き、アタシに切りかかろうと動いた刹那に銃口を向けると同時に撃鉄、トリガーを引き、弾丸が発射される。

 ナイフの刃に当たり、キィィンと高い音と共に折れるのがわかった。

 一瞬、驚き、動きが止まった所でアタシはゆっくりと撃鉄を下ろし、銃を向けアンチリアに近づく。



「私をどうするつもりですか?」


「別にアタシが決める事じゃねぇよ。 ただ……」


「ただ?」


「アタシは足止めをしただけだ」


「アンチリアー!」



 カトゥラがミラを呼んでこっちに来た時の彼女は、必死な顔で大切な人が行ってしまうのを阻止するように走っていた。

 アンチリアに抱き付き、縋りつく彼女は泣きながら、行かないでほしいと訴え、泣きじゃくるその姿に、姉妹と言うよりは母と子を感じさせる。



「アンチリア、何処へ行くつもりかしら?」


「お、お嬢様。 私はこの家で知り得た秘密を他者に売り渡しました。 それはメイドとして有るまじき事です。 ですから――」


「言い訳は無用よ。 罪を償いたいのならこれからもわたくしに尽くしなさい!」


「ですが!」


「それに、秘密って何の事かしら?」


「え!? そ、それは……」


「ブロンディ、あなたは知っているかしら?」



 あまりにもワザとらしい問いかけに、クスッと笑ってしまうがミラがそう言っているのであれば乗るしかない。

 ここまで拗れたんだ。

 いい加減、終わりくらいはすっきり終わりたい。

 アタシもわざとらしく演技して答えてやろうと思う。

 タバコの煙を吐き出しながら……



「いいえ、ミラお嬢様。 何も知りませんし、何も見たりもしていません」


「あ、あなたまで!」


「そぉ言う事ですわ」



 終わりよければすべてよし。

 カトゥラはアンチリアが戻ってくることに喜び、抱き付く姿にこの事件がやっと終わったと感じた。

 それはミラも同じだったようで二人の姿を優しい瞳で見つめていた。

 アンチリアが屋敷に戻っての数日間はアタシも泊まり込みで慌ただしい日が続いた。

 村の守り神の真実は瞬く間に広がったが事実を少しだけ変えて村へ伝える。

 改心した村長がケイトを探しに行って、守り神がモンスターであったことを知り、自身の命と引き換えに戦ったと伝え、最後はミラが追いついた時にはモンスターと共に既に亡くなっていた事にした。

 それから、ギャロンの死亡とそれに伴う村長の引継ぎだが、以外にもミラはそれを拒否した。

 理由は与えられるものじゃなく、自分で何かを勝ち取りたいからと早々に辞退し、妹のエンディさんが引き継ぐ形となった。

 もちろん、表向きはミラの母だからという事だ。

 新しい村長の下、今日も平和な日常が続く。


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