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21話


(違う!)



こんな奴らにいいようにされるって? 冗談じゃない!?

怖い? そんな事、あの時に比べれば、継母の仕打ち、生贄、自分の無力さ…… あの痛みに比べれば!

怒りが爆発し、右手にありったけの力を込めて首に手刀を打ち込むと男はうめき声と共に倒れ込む。

アタシは立ち上がり、顔面を力いっぱいに蹴り込むと少量の血が飛んだ。

足の甲に少しの痛みが残るが気にはならなかった。

タバコに火を点け、思いっきり吸い込む。

大量に吐き出され、煙が辺りに散らばる。

口腔に鉄の味に苦みが追加され、顔を顰める。ぼんやりとした目が段々と焦点が合ってきた。

短くなったタバコを男の顔の上に捨て、踏みつける。



「アイツ、ヘマしやがって!」



もう一人の男がアタシの前に姿を確認する。

先ほど町でナンパしてきた男だ。

断られた腹いせかは分からないけど、そんなことはどうでもよかった。

憎しみや怒りがどす黒く渦巻き、相手を睨みつける。



「アタシがあんた達に何をした?」


「あぁん!?」


「聞こえねぇのか! アタシが何したってんだよ!」


「商品の女が男に逆らうんじゃねーよ! ウインド――」



男が魔法を唱えようととした瞬間、右ポケットの中から球を取り出すと同時に魔法を発動、銃が形作られ、トリガーを引くとバンッと音と共に煙と弾丸が発射された。

弾丸は意志を持ったかのように対象者の肩に当たり、出血し、反動で倒れ込んだ。



「いでぇぇぇぇぇ! い、一体何が!?」



そりゃそうだ。

この世界には存在しない物を魔法で再現してるんだ。

未知の魔法で反撃を受けた男は狼狽え続ける様子を見ながら相手に近寄り、肩の傷口を踏みつける。



「ぎゃあぁぁぁ」



痛みで叫び声をあげる。

まだまだこんなもんじゃないと、足に力が入り踏みつける力を強くしていくたびに男は情けない声を出す。

その声にこの苛立ちの利子を徴収することにした。

(男の癖に情けない。 アタシの痛みに比べたらおつりが来るほどだ)



「世の中には2種類の奴がいる。 質問に答える奴、 殺される奴」


「ひぃぃぃぃぃぃ」



銃口を眉間に近づけ、球を入れる。

得体の知れない魔法を目の当たりにし、気が付くと、男は涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになっていた。

アタシはさっき自分がやられたように馬乗りになって、左ストレートを鼻に充てると顔面に赤のコントラストを加えられた。

「黙れよ。 どこの誰かは知らないけどアタシはその倍の恐怖だったよ」


「ひぃ!」


「もう一度聞くけど…… アタシが何をした?」


「襲えって、頼まれたから――」



もう一度、鼻に左のストレートを叩きつける。ぐしゃりと鼻が潰れ、栓が抜けた様に血が溢れ出るのを無事な手で必死になって押さえる様子を見ていると愉悦感が湧いてくる。

さっきまで勝てると思っていた女に男がやられる姿は素直に面白かった。



「で、なんだっけ? 頼まれたんだ。 誰に?」


「知らねぇよ。 姿は見えなかったけど…… でも確かなのは女だった。」


「女ねぇ……」


「もういいだろ! ここまでやって話すことは話したし、気が済んだだろ!」


「それもそうだな」


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