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103話

 店を終え、誰も見ていない事を確認し、そっと家を抜ける。

 深夜で殆どの店は閉まり辺りは暗くなっていたが路地裏を抜け、門を抜ける。

 門を抜けると町中とは違い、林の中を歩く。

 人の気配は無く、時折、動物の移動するような音や風になびく枝葉の音がする。


 僅かな月明かりで地図を見ようと取り出す。

 強い風にアタシは帽子を押さえ、バッグに手を入れ、魔法を発動する。

 気配がする方に銃を向けると大きな影がアタシの右手を掴みそのまま地面に押し倒され両腕を押さえられてしまう。


 抵抗しようともがくが歯が立たなかったが、月明かりが相手を照らしその正体がわかる。



「アルエットか! 驚かせるなよ」


「ごめんって~ 飛んで帰ってたらブロンディが見えたからね。 どこかへお出かけ?」


「そんなところだな。 アタシ行くから――」  と目的地に向かう為に走るが羽音と共に身体は宙に浮かぶ。



「て、てめぇ、何してんだよ!?」


「何してるって? メモの目的地まで行くんでしょ わたしが運んであげる~」


「え!?」 羽が大きく羽ばたき、一気に加速する。

 風を感じるどころか一瞬で10メイル進むような感覚だ。

 身体に当る風は押しつぶさんが如くで帽子を押さえるのに必死で下を見る事は無かった。



「着いたよ~」


「じゃあ、近くでおろしてくれれば――」


「聞いて…… ブロンディと一緒にいたこの2年間楽しかったよ。 無事に帰って来てね」



 思えば、アタシの事を助けてくれた一人であり、大切な友人。

 死ぬつもりはないし、もちろん帰ってくるつもりだ。

 辛い日々を過ごせたのも彼女の力は大きかったと思う。



「ありがと――」


「おみやげよろしくね。 魔法で着地できるようにしてるから大丈夫だよ~」 


 両肩から掴まれる感覚がなくなり、アタシの身体は地面から縄で引っ張られるような感覚と共に落ちていく。

 そのスピードはニコニコとしたアルエットに一言いう暇も無いくらいだ。


「ぎぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ」 地面に激突する瞬間だろうか、内蔵が口から出そうな感覚を我慢し、魔法の力で無事着地する。



「て、てめぇ何もんだ!?」


「ど、どっから来やがった!」



 燃える焚火に盗賊団ヴェント・ヴォラール特有のタトゥーを腕にしているのが見えた。

 相手はナイフがアタシに向けられる直前、魔法を発動し、リボルバーのハンマーを素早く叩く。


 破裂音と共に盗賊が倒れる。

 今の音でアタシの存在が感知された事はゆうまでも無く、そばの茂みに身を隠し、アジトに向かう。

 途中、姉御と呼ばれる女性を見つけ木の後ろからこっそりと聞き耳を当てる。


 暗くて顔は良く見えないが月明かりに照らされたナイフが見えた。

 それはアタシが屋敷で見つけた(ナイフ)とよく似ていた。




「一体、誰なんだい!? 嘗めたマネしやがって!」


「お頭、敵は空から降って来たらしくて――」


「まぁいいさ、 どこに隠れようと逃がしゃしないよ!」



 ナイフがアタシの隠れる木に刺さり、慌ててその場を離れるが時すでに遅かったようで目の前には大柄なオークの男が立ちふさがり、両手を広げる。

 バックステップでかわすと同時に魔法を発動し、トリガーを引く。

 3発の弾丸は1発は外れたが2発はオークの額と肩に当たり、そのまま地面に倒れる。


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