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100話

 寝苦しさとこそばゆい感じがして目が覚める。

 アタシの横で、何やらもぞもぞする布団の膨らみをそっと開ける。

「もう朝~?」 生まれたままの姿で眠るアルエット。

 びっくりして何も言えずにいると「昨日は寒かったからきちゃった」 はにかむ表情に心臓の音がバクバクと鳴り、気が付いた時にはアルエットが頭を摩っていた。


「冗談なのに~ ケガだって治したのにあんまりだ~」 スンスン泣く彼女に「冗談でも心臓に悪いからやめろ。 ケガはありがとな」


「べ、別にたいしたことじゃないし」 お礼を言われ、照れたのか両腕の羽で顔を隠す様子がかわいく見える。



 朝食の後はコーヒーとタバコを楽しみつつ、昨日、セシールにもらった手紙を見る。

 そこには盗賊団が現在潜伏している場所が書かれていた。


「これ何?」 椅子に座るアタシの後ろから抱きつき、のぞき込むアルエット。

「あぁ書かれているそこ知ってるよ」 と言い。詳しく聞こうとすると「もう少し、続きをしたいんだけどなぁ~」 首のあたりを羽毛のサワサワした感じが少しだけ心地よかったが本題に入る。



「どこだよこの書かれた場所って」


「そこわね~」 場所を聞いてみるとアタシが初めてこなしたダークハウンドを狩ったクエストの近くでさらに奥に進むとトロールが住んでいるところらしい。



「やっぱり、行くの?」


「あぁ、ケジメはきっちり付けさしてもらう」 ギルドの内情なんてアタシには関係ない。

 ただ、やられた事はやり返しておかないと、メルさん達が安心して墓標に眠ることが出来ないからだ。


 タバコを吸いながら、残弾数を数えていると新しい弾丸(357マグナム)の弾が無い事に気が付く。

 通常の弾丸よりか大きく、錬金で一から作り出すのはさすがにきつい。

 アタシは武器屋で材料を買う事にして、外に出ようと扉に手を掛ける。


「どうしたの~  昨日、あれだけの事をして、ギルドが黙っているわけがないと考えて、怖くなったとか?」 声を弾ませ、アタシの腕を軽く指で突きながら、ニヤニヤとする様子を見て彼女の両頬を引っ張る。


「冗談なのに~」


「ったく、質の悪いジョークは嫌いなんだよ」 考えてもしょうがないので扉を開け、外に出る。

 タバコに火を点け、それとなく辺りを見回すが行きかう人のみで煙を吐き出し安堵する。

「ブロンディ、やっぱり――」 扉を閉め聞かない事にする。


 アタシは周りに気を配りつつ、行きつけの武器屋へと小走りで向かう。



「これ、売りたいんだけど」 店に到着するとすぐに賊から奪った魔石を売り、その金で銅と鉛のインゴットを買う。

 店主は怪訝な顔をしながら「こっちとしては買ってくれるのは嬉しいけどよ。 そんなもんで何するんだ?」 と頼んだインゴットをアタシの前に置き金を払う。



「いい女には秘密があんだよ」 と言うとアタシを見て「フンッ いい女ねぇ……」 軽く鼻で笑われた。

 アタシはインゴットの入った袋を抱え、店を出ようとした時、「こいつはおまけだ」 と投げ渡されたのは小瓶に入った緑色の液体だった。


「回復薬だ。 たいしたもんじゃねぇが俺からの気持ちだ」


「おいおい、良いのかよ?」


「男に二言はねぇ 持ってきな。 それとあんまり無茶すんじゃねぇぞ!」


「あぁ、わかってるって」



 小瓶をレッグバッグにしまい、武器屋を後にした。


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