98話
「よくわかってんじゃねぇか」 バッグに手を入れ、弾丸を装填し構え、マリカを睨む。
剣に付けられた魔石が光り、「フレイムエッジ」 炎を纏った斬撃がアタシを襲うが刃はアタシの届くことなく済んでの所で止まる。
「な、なによ…… これ!?」 口から少量の血が吐き出され、崩れ落ちその場に倒れ込む。
弾丸が通った盾には小さな穴が開き、それだけではなく、簡易の鎧ごと撃ち貫かれて身体に外傷を及ぼすそれは、巨大なトロールでも致命傷を与えた世界初の大型の弾丸
「357マグナム弾。 盾と簡易の鎧をぶち抜いて少し、威力は落ちたが、効果は見てのとおりだな」 剣を拾い上げ、魔石をバッグに入れ、剣を遠くに投げ捨てる。
「わ、私の剣……」
アタシは這いつくばって、剣を取りに行こうとするマリカの身体を蹴り、仰向けにさせる。
表情はさっき自身に満ちた表情は消え失せて弱々しくアタシを睨みつけていた。
「聞きたいことは山ほどあるんだが……」 撃鉄を叩き、弾丸は何もない壁に三発、打ち込まれ、フードを被った姿を現し、地面に倒れる。
「アル!? 貴様、私の仲間をよくも!」
「仲間? こいつは精々、口封じにあんたを殺しに来たぐらいだと思うけどな」
「マリカ、動くなよ。 まだ聞く事があるからな」 銃を額に押し付け、念押ししてからアルの傍に近寄り、反撃されないように杖を取り上げ、折って投げ捨てる。
「ぼ、僕の杖が…… あぁ、ぐぅぅぅ」 髪を掴み上げ、首からぶら下げた魔石を奪い、抵抗できない様にうつ伏せにして右手を背中に捻る。
タバコに火を点け煙を吸い込み吐き出し、事を始める。
「まぁ誰に頼まれたかはわかってる。 問題は何でギルドがアタシを始末する必要があるのかだ」 煙を後ろから顔に吹きかけると咽こみ咳しながら「知らない」 と答えた。
「まぁそうだろうな」 そんな言葉を信じていないアタシは捻り上げた手の平に煙草の火を近づけ、灰を落とす。
「ひ、ひぎぃ」 小さな叫び声が響くのを聞いたマリカは「やめろ!」 抗議するが、アタシは短くなったタバコを手の平に押し付けた。
「あ、アルはまだ子供なんだぞ! そんな事をして――」
帽子が脱げるとエルフ独特の耳が見え、あの時、なんとなく予想はしていたが、子ども扱いした事に激怒した理由を改めて理解する。
「子供? ハーフとはいえ、エルフ相手に、よくそんな事いえるな。 こいつ見た目は子供だけどアタシ達より年上だぜ?」 人差し指を逆向きに折り曲げ、激痛は悲鳴となる。
「やめろぉぉぉぉ!」 立ち上がり、アタシに殴りかかろうとするマリカの足を撃ち貫くと倒れ、足から赤い液体が広がり、石畳を濡らしていく。
「さぁ何でアタシを付け狙う?」
「あ、あわわ」