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第3話:魔王様、子供達と街へ行く

「本当におじいちゃんだったんだね」

「変化の魔法だよ。別にこれが本当の姿ってわけじゃないし、ちなみに本当の姿は自分で言うのもあれだが割とヤバい」


 取りあえず魔人の姿だと問題があり過ぎるので、人間の姿になることに。

 ただ二人と遜色無い年齢に変化するよりは、保護者的な立場に立てそうな見た目の方が。

 いっそのこと中年、壮年を通り越して、老人形態になって二人を孫か弟子ってことにした方が。

 そうだ、そうしよう。


 街の近くまでは転移で移動したが、そこからは徒歩での移動になる。

 一応街道沿いで、周囲に人が居ない場所に転移。

 開けた場所で遠くからでも丸見えとかだと、それはそれで色々と。

 なので、取り敢えず離れた見晴らしの良い丘に転移。

 それから丁度木の影になっている場所に跳ぶ。

 誰にも見られていないはず……


 ジーっという視線に。

 足元には定番のスライムさん達が。

 なんだろう、あまり攻撃的な雰囲気は感じない。

 もしかして、誰かの使い魔……てことはなく野良か。


 取りあえず、言葉が通じるか分からないけど。


「ハロー?」


 声を掛けた瞬間に頭を下げて、凄い速さでどこかに逃げて行ってしまった。

 そんなに怖かったかな?

 ちょっと、ショック。


「流石にハローは無いわ」

「酷いな。魔物も人間と同じ言葉を喋るか分からなかったし」

「その見た目で普通に喋られると、違和感が」


 そうだった、今は老人形態だった。


 うん……老人が歩くにしては、門まで遠くね?


 馬車を用意しても良かったが、色々と面倒になりそうだったので旅人という設定にしてある。


 ちなみに街に入るのに身分証が無いと困るので、一足先に街に行って三人分の身分証はコピーしておいた。


 どうやって?


 いや、街の中を歩いている人からちょっと拝借して魔法でコピーして、バレないように戻しただけだけど?

 ちなみに色々と異世界らしく魔法で細工がしてあったので、魔法でその辺りも上手く誤魔化せるようにコピーした。


「なんか、異世界転移がかなりイージーモード」


 簡単にあれこれ出来る俺に対して、未来が納得のいかない表情を浮かべている。

 そこはラッキーと思ってもらいたい。

 いきなり知らない世界で、子供が普通に生活しようと思ったら相当なハードモードだからな?

 むしろ、ヘルモードくらいに思ってもらいたい。

 だから、普通に感謝しても良いんだぞ?


「ちなみに本当の姿がヤバいってどんな感じなの?」


 普通に流された。

 最近の若い者ときたら、まったくけしからん。

 取りあえず未来にの質問に答えるか。

 うーん……

 少しだけ思案。


「中二病を発症するレベル」

「何それ? 見たい」


 俺の真の姿を体現するぴったりの言葉だ。

 物凄く食いつかれた。


「今度な」


 いや、本当にね。

 この姿になったからには、今までほど優しくはないぞ? とかって言いたくなるレベル。

 てか魔神なんだよね……真の姿。

 この世界に神が居るかは分からないけど、前の世界ではガチで神と殴り合ったり出来てたレベルだからね。

 言わないけど。


 この子達が居なかったら、本当に好き勝手やってたかもしれない。

 今は、完全に保護者モードだから、自制心も自重も出来てるけど。

 子供達の前で、みっともない姿は晒せないし。


「田中さんが居てくれて、本当に良かったと現在進行形で感謝してます」


 ここ数日の付き合いで分かったけど、亮は本当に生真面目な性格だった。

 間違いなくこっちが勇者だな。 

 未来の適正職業はなんだろう?

 俺の鑑定では分からないから、こっちの独自の適正なのだろう。

 流石にこっちの鑑定魔法を一度見たら、俺も使えるようになるはずだけど。

 やっぱり世界によって、理は違うんだなと改めて実感。


 だから、この世界にある魔力を操るのにも最初は少しだけ苦労した。

 今はそうでもないけど。

 まあ仮に使えなくても、自前の魔力でなんでもできるけど。


 3人でがやがやと話しながら歩いていたらすぐに着いた。

 街の入り口に出来ている入国審査街の行列の後ろに並ぶ。


「身分証を確認します」


 その街に入るための列に並んで数分後、ようやく俺達の番が回って来た。

 うん、すぐにとも言えるかな?

 ドキドキしながら、身分証を渡す。

 バレてもどうとでもなると分かっていても、やっぱりこういった後ろ暗いことをするときはドキドキする。

 亮の顔色が悪い。

 変な事を口走るなよ。


「ミランダの街からですか。どういった目的ですか?」

「ええ、楽隠居を決め込んで孫たちと世界を観光しているところですよ」

「なるほど、犯罪歴も無いですし、特に問題はありませんね。ようこそ、バレルの街へ。楽しんでください」


 あっさりと入国審査を終えて、三人で街の中へと入る。

 本当にあっさりと。

 拍子抜け。


 2人の髪の色を、魔法で変えておいたお陰だろうか?

 金髪と茶髪に。

 でも、街を見たら普通に黒い髪の人達も居た。

 うん……ちょっと、最近のラノベに毒され過ぎていたようだ。


「なんだろう……なんか、なんかだね」

「ここは、田中さんに感謝しようよミライ」


 未来は相変わらずモヤっとした表情を浮かべているが、亮は問題無く入れたことにホッとした様子。

 門は目抜き通りに連なっていて、道は石畳が敷かれている。

 街の印象はやっぱり定番の欧州な感じね。 

 でも、中世っぽい印象ではあるけど、清潔感はある。

 道に排泄物が落ちてる事も無いので、少しだけ安心。

 軽く街の中にサーチを掛けてみたが、地下に水路があったので下水管理はされているのだろう。


「あっ、そうだ!」


 さあ、いざ街へと足を踏み出さんとしたら、衛兵さんに声を掛けられる。

 思わずドキリとする。

 何か、やらかしたか?


「お孫さん、男の子の方顔色悪いですよ? 長旅で疲れてるんだと思いますが、風土の違いで病気に掛かることもありますので、一応治療院に行って診察を受けた方が良いかもしれませんね。場所は、この通りを真っすぐいった噴水広場で、そこに居る人に聞いていただければすぐに分かると思いますよ」


 普通に顔色の悪い亮のことを心配してくれて、声を掛けてくれただけのようだ。

 なんて良い人。


「うむ、すみませんな若いの。まずは、そうさせて頂こうかのう?」

「いえ、仕事が無ければ案内させていただいたのですが、今はちょっと入国に対する審査を厳しくしておりますので。では、お気をつけて」

「いや、そこまでは流石に申し訳ない。では、失礼させていただこう。リョウ? 歩けるか? おぶってやろうか?」

「大丈夫で……だよ」


 亮の大根役者っぷりが、本当に酷い。

 まあ、上手く誤魔化せたみたいだけど。


 しかし入国審査を厳しくしていると言っているわりには、あっさりと入れたのはどうなのだろうか?

 やはり老人と子供の組み合わせは、割と警戒が少ないのか?


「良い人だったね」

「ああ、そうじゃな」

「そうやってると、本当におじいちゃんみたい」

「ふむ……普通にしゃべると、亮が気持ち悪いと言うからのう」

「いや、気持ちわるいとまでは言ってないじゃないですか」


 俺の喋り方を揶揄うような未来を見て髭をさすりながら、優しい目を向けつつ矛先を亮にずらす。

 居心地悪そうに否定していたが、内心では思ってそうだなこれは。


 さてと当初の目的を果たそうか。

 まずは観光!


 じゃなくて、情報収集だな。

 周辺国家の情報。

 出来れば地図なんかも欲しいが、無ければ魔法で作るしかないか。

 それと貨幣や、その価値。

 それから物価だな。

 他には住民の暮らしや、身分制度。

 

 それが終わってようやく次が、観光だ。


 どちらかというと、早くこの世界の街をゆっくりと見て回りたい未来がそわそわしている。

 亮は調べるべきことを、復唱しながら再度確認している。


 うんうん……


 亮はしっかりものだな。


 ごめんな。

 俺も実は、さっさと観光がしたかったり。

 色々と考えているところ悪いけど、情報収集はなるはやでさっくりと終わらせるつもりだ。

 だから、持ち物の再確認とかしなくて良いんだぞ?


 メモも必要無いぞ?

 魔王様の脳みそは特別仕様だからな?


 スキルで記憶を刻み込めるからな?

 本当にこれはズルいと思ったが、仕方がない。

 そういった仕様なのだ。


 ちなみにこのスキルを使わなくても、それなりに物覚えは良かった。

 それなりにだ……完璧ではない。


 だからよく側近の魔族に、呆れられたことも……

 良いんだよ。

 俺が覚えてないことは、部下であるお前らが覚えておけば!


 そう言ったら黙って、完全記憶のスキルの練習をさせられた……

 元気かな、サキュバスのエリーたん……

 いや、別に側近がサキュバスだからって、夜のご奉仕とかはさせてないからな!

 本当だからな?



一日1000文字打つを守ってますが、やっぱり難しい( ´∀` )

6万文字程度のストックだと、今月末を待たずに毎日投稿が終了するwww


ただ、目標は10万文字ですので、そこからは投稿ペース遅くても良いかなと(;'∀')

まだまだ12時投稿は続けられそうですが……地味に読み直して改稿したりと考えるとたまに、穴が空きそうですね(* ´艸`)



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