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第8話:レベル上げを手伝う魔王様

「これで私も冒険者」

「意外とあっさり」


 未来と亮の冒険者登録が終わった。

 ちなみに試験の内容は、初級ポーションの材料になる薬草を10株ずつ採取。

 1つお店で買って、魔法でコピーして提出した。

 

 取りあえず手段は問わずに依頼を達成するだけの能力があれば良いらしい。

 ちなみに店で全部買ったら赤字になるため、手っ取り早く冒険者の称号が欲しい人以外はそんなことはしない。


 そんな金があったら、冒険者なんかやらない。

 精々が身分を隠すために冒険者をやるような人くらいか?


 早速、森の中の家に戻ってお祝い。

 家はどんどん改築されていっている。

 

 森の名前は、メリッサの大森林。

 メリッサていう魔女が作り出したという伝説が。

 まだ生きているという伝説も。


 ここ数百年目撃例が無いらしいけど。

 じゃあ、死んでるんじゃないかなと思ったけど。


 この大陸の西側5分の1を占める広さ。

 端は海に面しているらしい。

 中々に良い場所だと思う。

 森の中に大きな山が2つ。


 そのうちの1つには竜が住んでいるらしい。

 是非会ってみたい。

 

 他にはエルフも居るとか。

 というか、エルフの里もある。


 話を聞いて調べたけど、エルフの里の場所と、竜の存在は確認が出来た。

 メリッサかどうか分からないけど、この世界に来て初めてくらいの強力な魔力を持つ存在の確認も。


 うーん……強さ的には、前の世界の俺の配下の小隊長クラスかな?

 伝説の魔女ねぇ……

 長い事、籠ってて弱くなってるのかも。


 まあ、良いや。


 目の前でようやく手にした新品の冒険者証を眺めている2人を見て、こっちまで嬉しくなってきた。


「冒険者としての門出に乾杯するか?」

「まだ冒険してないけど」


 まあ、街で試験の合格条件を達成してしまったからな。

 正直、そこは不満らしい。


 いやいや、外に出るのはまだ早いだろう?

 すぐに殺されるかもしれないし。

 過保護と思われるかもしれないけど、人間って本当にすぐ死ぬから。


「初めての依頼料を、働かずに手にする気分はどうだ?」


 それでも不満そうな未来を揶揄ってみる。

 ほっぺを膨らませてた未来に、睨まれる。


「このまま、田中さんに寄生しちゃおうかな?」

「おっ? そうしてくれたら、物凄く楽なんだけど?」


 これは本心。

 寄生してもらうってことは、目の届かない場所にはいかないし勝手なこともしないってことだよね?

 それなら、安心して自分勝手に情報を集めてこられるし。


 そんなタイプじゃなさそうだから、色々と準備をしてるわけで。

 生活の基盤を整えるための準備とか、ここで暮らしていけるだけの能力の育成のための準備。


 俺が大金を渡して、好きに暮らさせるのもいいが。

 その金を何かの拍子に失ってしまったときに、稼げる手段が無いと詰むからな。

 最低でも自活できるくらいの基盤は用意してあげるつもり。


 その後は……

 まあ、野となれ山となれ。


 助けを求められたら助けるし、自立したいなら手は出さない。

 最低限の見守りはするけど。


「ケン&タッキーのチキンて……確かにパーティっぽいけど」

「ピザキャップのピザもあるし……」

「せめて、箱に入れるのはやめて! 世界観が!」


 想像したものを形にする魔法。

 かっこ料理に限るだが。

 ついつい入れ物から想像してしまうから、仕方ないだろう。


 そう思うなら食べなくても……ああ、凄い勢いで自分の分は確保するのね。

 手羽元を選ぶのか。

 確かに食べやすいが、じつはこっちの食べにくそうな形の方がうま……そっちも取るのね。

 というか、どれだけ取るんだ?


 俺の……作ればいいか。


「未来は見た目によらず、大食いです」

「だろうな」


 見た目にはそうは見えないが、キャラ的にそう思える。

 思えてしまう。


***

「これ本当に凄いですね」

「レベルがまた上がった!」


 森でレベル上げをさせる。

 この世界の強さの基準はレベルに依存すると。


 レベルが上がると、スキルも増えるし魔法も覚える。

 うんうん、RPGの世界だな。


 分かり易くていい。


 前の世界ではレベルが上がるとステータスは上がったが、スキルや魔法は自分で覚えないといけなかった。

 いけなかったけど、肉体的なスペックのお陰か。

 殆ど苦労せずに使えるようになったというか。


 スキルや魔法を創造することも出来たり。

 本当に肩書き魔王ってチート。


 さてとそんな俺がいま2人にやらせているのは、無限増殖経験値稼ぎ。

 いわゆる仲間を呼ぶ手の形をした魔物を使ったあれの、改良版。


 俺が配下にしたスライムを2人が斬る、斬る、斬る!


 そして消えたスライムを俺が復活させる。

 

 そこからまた、斬る、斬る、斬る。


 倒しているのは経験値が美味しそうな銀色のスライム。

 あっ、目玉もなんにもない無機質な丸い固そうな見た目の柔らかい動きをするスライムだ。


 物凄く硬かったので、鋼鉄も斬るナイフを渡してある。

 スライムには避けないように指示済み。


 ちなみに痛覚は無いらしい。

 死ぬのはいきなり意識が無くなる感じとのこと。

 プツッて記憶が一瞬途切れて、次の瞬間そこに復活してると。

 だから、気にせずに一思いに。

 ええ、返って手加減とかされると、すぐに回復しちゃうのでと。


 顔が無いから表情が分からない。

 だから、苦痛を感じているのかも分からない。


 一度、未来とスライムの意識を交換して実験。


「なんで私?」

「いや、亮だとなんか……痛くても反応薄そうだし」

「酷い!」


 そして亮が思いっきり。


「無理ですよ! いくら、見た目がスライムっていっても中身は未来でしょ?」


 うーん、それもそうか。

 と思ったら未来の中に入っていたスライムが躊躇することなく、自分の身体の半分くらいまでナイフを叩き込んでいた。


「痛く無い……」

「ねっ?」


 満面の笑みでほらねといった表情で、こっちに訴えかけてくる未来。

 可愛い。

 あっ、中身スライムだった。

 

 うん、ずっとこのままで良いかも?


「変なこと考えてない?」

「フッ」

「ちょっと田中さん?」


 やっぱり未来よりスライムの方が良いかも。


 流石にそれはいくないので、そんなこんなでスライムが痛覚を感じないことを理解した未来が修羅に。


「僕も一応確認しておきたいです」

 

 なる前に亮が確認と。

 本当に真面目だなお前?

 生き辛く無いか?

 そうでもない?


 むしろ今は、田中さんのお陰でかなり気分が楽?


 うんうん……知ってるぞ?

 寝る時に人知れず、親に報告をしているのを。

 まあ、直接話せるわけじゃないから、布団で目を閉じて天井に向かって。


「今日は冒険者の登録をしました。田中さんのお陰で、衣食住には困ってません。とても元気です……お父さんもお母さんも元気かな? 心配してるよね? 安心して良いからね? この言葉が届くと良いな」


 と言ってから、おやすみなさいと言って眠っているのを。

 しかも


「愛してるよ父さん、母さん」


 って、お前はアメリカ人か!

 悪いが茶化さないと、目から汁がだな……

 良い子だ。


 その隣の部屋では、布団に入って3秒でイビキを……かきはしないが、寝息を立てる幸せなやつが居たり。


 まあ、未来は未来でたまに寂しいらしく


「パパ、ママ……パパは良いや! ママ……ユウキ……」


 と言って布団を足で挟んでゴロゴロと転がって……結局寝ているが。


 ちなみにユウキというのは、中学生の弟らしい。


 お2人の親御さん、亮も未来も無事に帰すつもりですが、無理でも立派に育ててみせます。

 だから、ご安心を。


 ちなみに亮と未来はレベル55になりました。

 

 この世界ではレベル50あれば、まあ街の近くの魔物相手には後れをとることは無いみたいです。




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