雨粒
硝子に付いた雨粒の、綺麗なはずのその雫が
白く光って蠢いて、醜い虫に見えてきて
背筋が冷えて、嫌悪が湧いた
雫は綺麗であったのに、勝手に嫌悪したのは僕だ
穢れているのは、この目か、心か
真に嫌悪すべきは僕だ
真に嫌悪すべきは僕だ
暗く汚い小さな部屋で、白い毛布にくるまって
うぞうぞと、うぞうぞと
ぐにぐにと、ぐにぐにと
蠢く雫に怯えてる
醜い僕に、怯えてる
窓の外ではざあざあと、空から雫が降ってくる
それしか音の無い世界
耳の奥まで入り込む
地面へ堕ちる雫の声が、僕を嗤っているようで
恐怖が沸いて、耳を塞ぐ
地面を潤す雨粒に、勝手に恐怖したのは僕だ
なんだか哀れになってくる
穢れた上に臆病な、小さな小さな、弱い僕
真に恐怖すべきは何だ
真に恐怖すべきは何だ
弱く汚い哀れな僕が、自分で建てた厚い壁
壊しても、壊しても
倒しても、倒しても
僕がすぐに、建て直す
光を見たい僕の前に
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