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勇者パーティーと巻き込まれた私

お久しぶりの投稿です


1話に修正を、2話に加筆しました。

「貴女に幸運を…」


女神様の言葉が響き暖かいものに包まれた。浮遊感の中"ファリサス"で生活していくのに必要な基礎知識が記憶に染み込んで行く。餞別の一つなのだろう腕の中の桜が小さくなっていくのを感じながら有り難く受け取った。



しっかりと床の感触を感じられるようになると足元の召喚陣の光が薄くなり同時に床の冷たさが伝わってくる…


すぐ側には私と一緒に召喚された5人が同じように床に座り込み呆然としているのが見えた


白いローブを目深に被った人達に囲まれる中

正面から銀糸で美しく刺繍された白い法衣を纏った二十代半ばくらいの男性が進み出ました。淡い金髪に濃い緑の瞳…大変麗しいお顔ですね…


「はじめまして…異世界より来りし救世主達よ」


……聖職者らしい和かな笑顔を浮かべているが値踏みする視線が隠せていません。前以て召喚目的を聞いているが知らなくてもこの瞳を見れば救いを求める者ではない事くらいはわかりそうです……


「すげーっ!ラノベか?!」


「異世界召喚?!マジで?」


「…えっ?ってことは俺達って勇者?!」


男子達は浮かれて喜んでます


「うわっ!凄いイケメン!!」


「本物の金髪?カッコイイ〜〜!!」


女子達は早速 目がハート(笑)になってます



各々 盛り上がってるけど…これって誘拐だよ?

小説じゃないのよ?ゲームと違ってリセットも復活の呪文も無いのよ?

喜んでて大丈夫なの??神官達の背後には白銀の鎧を纏った帯剣している騎士達も居るのよ?



私は自分のステータスを知っているから落ち着いていられるけど何も知らされずに飛ばされたらパニックになる自信がありますよ…


高校生達の危機管理能力の無さと順応力の高さに溜め息しか出ません


……これが若さってヤツか…



説明するからと移動を促されて動きはじめる頃に漸く高校生達が私に気が付きました


「ねぇ…誰?あの人」


「さぁ…誰かの知り合い?」


などとこちらをチラチラ見ながら話している



連れていかれたのは赤い絨毯が敷き詰められた豪奢な一室でした。フカフカの椅子に座ると入ってきた別の奥にあった扉から侍女を従えたご令嬢が入ってきた。


「大司教様!こちらが勇者様達なのですね?!」


「殿下…いかがなされましたか?」


輝くばかりの金の髪と気の強そうな青い瞳の美しいご令嬢が此方を見てポツリと「6人?」と呟き何やら二人で話し始めました。


さり気無く辺りを見回せば使えている神官達も扉に立っている騎士達も一様に緊張の為に無表情ですが…皆様 西洋風な顔立ちで揃って顔面偏差値は高いです。


召喚された五人組も其々にタイプは違うが日本では美形と呼ばれる人達なのだろう…かく言う私もブスではない。友人曰く 「10人中7人が顔で3人が身体で振り向くけど中身を知って10人が去って行く残念系」だそうです(泣)


しかし緊張感漂うこの空気の中で女子達は「イケメンばっかり…」とギラギラしていてちょっと怖いです……

男子達は「リアルメイド!」とか言ってはしゃいでますよ……



温度差酷え〜〜!!



話し合いが着いたのか二人が近寄り


「…改めましてようこそ ファリサスへ。私はこの国の第一王女 リズベット・アキテ・オルドランドと申します。こちらは…」


「大司教のオリバーと申します。先ずは私から説明を…と思いましたが国王様が"鑑定の儀"に立ち会いたいそうなので申し訳ありませんが場所を謁見の間に移させてもらいます。教皇様もおりますのでお待たせするわけには参りません。急ぎ参りましょう」


挨拶もそこそこに促そうとする大司教を王女殿下が止め、女性が足を見せているのははしたないとされているのでローブを女子二人が羽織らされてからの移動です。


「え〜〜 ミニ駄目なの?可愛いのにぃ〜」


「常にマキシ丈とかって〜あり得ない〜」


ぶちぶち文句を言う女子に


「まぁまぁ〜ラノベのテンプレだよ」


「そうそう 足見せてると娼婦に間違われるなんてなぁ〜」


男子が面白そうに追加情報として教えていた。



私?桜の散歩なんでTシャツに大きめのパーカー、ジーパン、スニーカー装備ですが身体が若返ったせいでダブついてます。桜は召喚の光が消える前にパーカーにインしました。手持ちのトートバッグに入れることも考えましたが奪われたらアウトだからね。手でさり気無く支えてますが暴れると落ちてしまうので静かにしててよ〜〜(汗)



召喚は城の中にある教会で行われたそうなので謁見の間には歩いていけるそうなのでその間 簡単に説明をしてくれました。


説明内容は聞いていた通りですが高校生組…特に男子のテンションはだだ上がりだった。


「すっげ〜〜 魔法とかあるんだ!」


「ドラゴンとかってリアル一狩りできそうじゃん!!」


「うぉっ!テンプレ通りに携帯が圏外になってるよ!使えねぇ〜〜」


女子の方は


「王子とかって乙女ゲーみたい〜〜」


「逆ハーとか目指してみる〜〜?」


こっちのテンションも別方向に盛り上がってました。



……マ ジ で す か ?


若さって怖い…ドラゴンで一狩りなんてゲームだからできるんであって本物見てはしゃげるのかしら…


貴族社会で逆ハーレムなんて昼ドラ真っ青の泥沼展開しかないですよ?全年齢対応の乙女ゲームみたいにチュッてしてめでたしめでたしじゃ終わらないのよ?

しかもターゲットに王子様?"西太后"とか見たことないのかしら…不慮の事故とか病死ってまんまの意味じゃないのよ?


こんな異世界人を毎度 召喚してたら国も荒れるわなぁ〜〜


などと考えながら歩いていると大きな扉の前


「謁見の間に到着しました。私語は慎んでください」


騎士達が重そうな扉を開くと…よく映画なんかで見る王様との御対面シーン まんまでした。


私達の登場に騒つく広間 其処彼処で「勇者」「聖女」などと歓喜の声が上がっていたが進むにつれ「6人?」「5人のはずでは…」などと騒つき始めた。


高校生組も何となく気が付いたのかチラチラとこちらを見ている……確かに巻き込まれたのは私だが自分だと思わないその自信はどこから来るのだろうか…



王様の前に6人 並び立つと


「ようこそ…我が国を救う異世界の者達よ!歓迎する!!」


壇上から上がった一声で広間は一旦は静り玉座の一段下に構えていたオリバー大司教より豪奢な法衣を纏った男性が立ち上がり


「これより鑑定の儀を行う。」


手を振ると騎士達が台座を持って来た。その上には小玉スイカ程の乳白色の球が乗っており羊皮紙の束を抱えた神官が説明し始めた。


「先ずはこの鑑定紙に手を置き"ステータス・オープン"と唱えてください。そうするとステータスが写し出されます。次に此方の測定球に手を置いて下さい。此方は魔力の総量と使用できる属性がわかります。…ではあなた様から」



「えっ?俺から?」


並びから男子3人組 女子二人…最後に私の順番です…


一人目は爽やか系スポーツ少年。


「"ステータス・オープン"!」


ステータス


名前:ヒデオ マツオカ(松岡英雄)

種族:人族 男

職業:勇者

年齢:17歳

レベル:1

スキル:俊足 索敵 剣術 異世界言語 生活魔法

称号:異世界転移者


魔力量:中

属性:光 火



二人目はクール系で鍛えてあるのかがっしりした身体の少年。


ステータス


名前:マサヨシ ワタナベ(渡辺正義)

種族:人族 男

職業:剣豪

年齢:17歳

レベル:1

スキル:豪腕 気配察知 剣術 異世界言語 生活魔法

称号:異世界転移者


魔力量:下

属性:火 風



3人目はチャラ男系ですが細マッチョな少年。


ステータス


名前:ユウキ イシハラ(石原裕樹)

種族:人族 男

職業:魔術師

年齢:17歳

レベル:1

スキル:回避 跳躍 拳術 異世界言語 生活魔法

称号:異世界転移者


魔力量:上

属性:火 水 風



「すっげ〜〜!俺 勇者じゃん!光魔法とかも使えんじゃん!」


「剣道をやっていたからか?しかも魔法属性も二つ付いているし…」


「おおっ〜〜!三属性使えるし 魔法使いなのに拳術とかもあるよ!」


三者三様 はしゃいでお互いの鑑定紙を見せ合ってます。



「ドキドキしてきた…」


「私も〜〜」


そう言って進み出た女子組


清楚な儚げ系でスレンダーな少女


ステータス


名前:セイ サオトメ(早乙女聖)

種族:人族 女

職業:聖女

年齢:17歳

レベル:1

スキル:気配察知 異世界言語 生活魔法

称号:異世界転移者


魔力量:上

属性:光


ポッチャリ可愛い系な少女


ステータス


名前:アイ コバヤカワ(小早川愛)

種族:人族 女

職業:治癒師

年齢:17歳

レベル:1

スキル:回避 異世界言語 生活魔法

称号:異世界転移者


魔力量:特上

属性:光 水



「あっ!私 聖女だって〜〜」


「私は治癒師…癒すってマッサージ的な?」


女子二人はファンタジーに詳しくないのか「ふ〜〜ん」って感じだけど若干 聖女となった子がドヤ顔気味です。



しかし迂闊にステータスをバラすとエライ目に合うというテンプレは頭に無いのか?日本でも個人情報保護とかってあるのに…自分たちは()()だという保証でも?


与えられた知識の中には生活魔法で自分のステータスは念じれば見れると有るのだが…気付かれる前に情報を引き出すなんて…後でバレても丸め込める自信があるのかな?


モソリと桜が動いたのに気が付き……やっと起きたのか………


手の中の温もりにほっこりと仕掛けるが神官の声に表情を引き締めて顔を上げる


「貴女で最後です」


既に勇者に聖女とお供のパーティーメンバーが出揃っているので広間に居る人々の私への視線はゴミを見るようだ……召喚された男子達は憐れみ…女子達には優越の視線を向けられステータスの件を暴露してこの子達を保護するってプランは粉微塵になりました。正直 面倒臭い…



男子組が困った表情でお互いを見ながら、女子達も「ごめんね〜〜」などと一切思ってもいない事を口にしながら近づいて来た。


「あ〜〜…あの…さ?お姉さんはどういう状況で召喚されたか憶えてる?」


「憶えてるよ?桜と散歩していた私とすれ違う所だったの。あなた達は話に夢中で気が付いてないみたいだったけど…」


「「桜?」」


「そう…この子よ?」


パーカーのジッパーを下ろせば中から桜がピョコリと顔を覗かせた。


「仔犬?」


「「可愛い〜〜」」


()を知っていればの反応に対して広間の貴族達からは悲鳴があがり、騎士達は剣に手を掛け動けるように構えていた。


「まっ…!魔獣!!」


すぐ側にいた神官がへたり込み怯えているのを高校生達はきょとんとした顔で見下ろし


「大丈夫ですか?ただの仔犬ですよ?」


「え?魔獣って何それ?」


「そこまでビビるか?」


「え〜?こんなに可愛いのにぃ〜〜」


「酷くない〜?」


パーカーの中から取り出した幼くなった桜は片手に乗るサイズでキョロキョロしている。


「ねぇ…私と桜は巻き込まれたみたいなんで元の世界へと帰れないかなぁ〜?」


私の「()()()()」という一言に魔術師の石原くんが


「…俺達も……帰れる…んだよな……?」


「「……え??」」


他の二人も今 考えに至ったのか


「え?……魔王とか使命とか果たしたら…帰れるんじゃ……ないのか?」


不安そうに神官を…壇上の法衣を纏った男の人を…そして王様に目を向ける。


「…う…うむ…勿論だとも!…た…ただ今すぐという訳には…いかん。」



私達が呼ばれた"神王国"は周りを海に囲まれ女神様の慈悲に寄って外界から守られた国で外界では魔物達が跋扈し人ならざる者達が住まう土地である。中でも膨大な魔力を持つ魔族によりこの国以外の人々の生活は苦しめられてその魔の手が遂にこの国にも伸ばされ始めた。不作が続き海も荒れ始めている。雨が降らない年もあれば川が氾濫する程降る年もあり病が蔓延しているのがその証、その為5年もの年月をかけて魔法陣に魔力を込め遂に救国たる勇者達の召喚を成し得たと……帰るためには同じ年月…疲弊している今なら更に何年かを要する…と語り


「だが 魔王を倒しこの国が真に救われれば女神様の慈悲があるやもしれん。巻き込まれたそちらの女性には申し訳ないが今すぐにとは無理な話です。」


法衣を纏った男性が後に続いた。



「……わかりました」


静かに俯く私に


「あっ…お姉さんも鑑定受けなよ!」


「そうそう!もしかしたらイレギュラーでチートが付いてるかもよ?」


「ペットも一緒って事はテイマーかもよ??」


男子組が慌てて慰めるような言葉をかけるし神官はここぞとばかりに鑑定道具を押し付けてくるので苛立ち紛れに測定球に手を置けば暫しの明滅後ビキッという音と共に砕けた。


驚き目を見開かれる中で鑑定紙に手を置き唱える



ステータス


名前:アカネ サイトウ(斎藤 茜)

種族:人族 女

テイム:サクラ(桜)

職業:

年齢:20歳

レベル:1

スキル:異世界言語 料理 裁縫 生活魔法

称号:異世界転移者



ステータス


名前:サクラ(桜)

種族:魔犬亜種

年齢:3ヶ月

レベル:1

スキル:物理攻撃無効 魔法攻撃無効 状態異常無効 気配察知 危機回避

称号:幸運を呼ぶ犬 女神の寵愛



静まり返った広間にシャラシャラと砕けた測定球の欠片の音が響いている。


浮かび上がった鑑定が隠蔽した通りで安心していると


「ははっ…魔力総量…測定不能。」


最初に声をあげたのはへたり込んだ神官のものだった。騒めきが広がる中で一際大きな声をあげたのは男子達でした


「すっげ〜〜!壊しちまった!!」


「まさかお姉さん、チート持ち?!」


興奮して私を取り巻く男子達を苛立たしげに見つめた女子達が


「ちょっと!どういうこと?!」


「なんかズルしてない?!」


鑑定紙を私から奪うと口を歪め


「…やだ〜〜!無職じゃん!!」


「然も 裁縫と料理ってスキルしか無いし〜〜!」


くすくすと嘲りながら男子達に見るように促している。


「あ〜マジで?テイマーじゃ無かったのかぁ〜〜」


「うおっ!!見てみろよ!この犬、めっちゃチート仕様なんだけど!!」


「すげ〜〜全部 無効化って!」



無邪気にはしゃいでいる男子達に頭が痛くなる。自分達の発している言葉がどれだけ影響のあることなのか…女子達は薄々感じているのだろうが自分達の優越感を満たすためだけに私を嘲笑っている。


自分達を取り囲む貴族達の瞳にはギラギラとした野望しか写してない。王ですら下卑た笑みを浮かべて見下ろしている。



女神様から聞いていたとはいえやはりクズだな…この子達も…この国も………



ならば容赦はいらない。こちとら馬鹿正直に総ての手札を晒してはいない。私を含めて……ね


"鑑定の儀"と聞いて謁見の間に向かう際に高校生達のステータスは確認すると面白いことに5人とも共通のスキルを持っていた。


それは"魅了"のスキル……

どちら共にとっても厄介な事 この上ない。


彼等が気が付けばやりたい放題だろう…特に女子達、逆ハーレムとか言っていたしね。


国王側にバレれば隷属化され更に利用される未来しか見えない…因みに隷属化は闇魔法にあった。


女神様に与えられた知識の中に奴隷の存在なんかが有ったからね。マジで隷属の首輪…存在してました。異世界 怖っ!



だから "隠蔽"を固定してかけてあげた(笑)

せいぜい掻き回して下さいね?





亀更新で申し訳ありませんm(._.)m

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