表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーとある少女の  ー  作者: 幸城萌音
3/3

3両目 突然の別れ

いつのまにか、知らない場所にいた


気がついたときには空の上。しかも自分の体は・・・浮いていた


それだけで頭の中がこんがらがっていたのに、さらに


正体のわからない、言葉に表して表現するのが難しい感情の波が、一気に押し寄せた



ソラの中で、私を見つけ、拾ってくれた子


本人は自分を、列車の車掌といっていた。



その、ずっと一目見たときから少女だと思っていた子が、少年で、私と同い年だった


私の目から見ても、いや、きっと誰の目から見ても女の子なのに、少女・・・いや、少年はそのことを頑なに否定した。その姿は、まるで自分の大切なものを必死に守ろうとしている小動物だった。


それ以上のことを聞くのは、はばかられた。




今は列車の席に、向かい合って座っている。さっきのこともあって、距離は遠かった


「あの、さっきは、ごめんなさい・・・」


「・・・お姉さんが謝る事じゃないよ。僕の事なら気にしないで」


笑ってるけど、この子の表情はさっきと比べたら硬かった


「でも・・・ごめんなさい・・・」


「だーかーらー!いいって、大丈夫!気にしないでってば!」


声を荒げて、その子が立ち上がった


ひょっとして、本当に怒らせたのだろうか


本当に、この無垢な子を・・・傷つけてしまったのだろうか


私は、本当に、また、あの時と同じように















キラワレタノカ




その瞬間、列車が大きく揺れた


「うわっ?!」「え?!」


そして、一気に頭に感情が押し寄せた


「っつ?!あぁあ・・・っ?!」「ちょ、お姉さん?!大丈夫?!」


一気に押し寄せて、何も考えられなくなって、苦しくて、辛くて


頭の中が一気に感情と痛みで溢れた。痛みで溢れて、今度は感覚がなくなっていった


何も感じなくなって、でも確かに痛みと感情の波は押し寄せて


列車も、それに同調するように、どんどん激しく揺れていった


「うわぁ?!」


その瞬間、長い綺麗な銀髪が目の前を通り過ぎたのを見た


私の横にあったのは開いていた窓で


「・・・え」


何も考えずに、思わず体が動いた


窓から体を乗り出して、その腕を掴んだ


しっかりとその細い腕を掴んだ感覚はあった。とても暖かい、生きている象徴の、熱


「え・・・?な、なんで・・・ボクを・・・?」


「ぜっ・・・たい!!!はなさ・・・ないでよね・・・!!」


「ちょ、なんで?!このままじゃお姉さんも落ちちゃうよ?!」


「そんなの、関係・・・ない!!絶対に、誰も・・・」



そこまで言って、私は




「みすてない!!!!」




腕に力を込めて、一気にこの子を引き上げた




「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・!!」


「っ、なんで・・・!!」


息を整えていると、その子はポツリとつぶやいた


「はぁ、はぁ、な、なんでって・・・・?はぁ、はぁ、」


聞き返すと、その子は、今にも泣き出しそうな顔を上げてこちらを見て、そして、声を荒げた


「っ、なんで?!なんで、僕を助けたのさ?!」


こちらを、にらめつけているような、でも、すがりつくような、目


その目としっかり向き合い、私は自分の思ったことを正直に言おうとした












けれど


「・・・え?」


「お、お姉さん?!」


私の体が、すごいスピードで消え始めていた


手が、足が、体が。全てがスーッと透けていった


自分でどうしたらいいかわからなくて、あたふたしていると、目の前にいたその子が何かを呟いた


「本当に、いたんだ・・・『     』って」


「え?」


私が聞き返したその瞬間




目の前の景色が、ガラッと変わった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ