1両目 始まり
あおい、ソラをみた
遠くまで続き、透き通ったソラを
その蒼に浮かんでる、私
透き通った、綺麗な蒼に。私はいつの間にか浮かんでいた
蒼に浮かんで、蒼に囲まれて、蒼に包まれて、蒼に、蒼に、蒼に
自分の心臓の音が、一際大きく聞こえた
そして、恐怖が、歓喜が、憧れが、苛立ちが、安心が、不安が、悲しみが
一度に押し寄せた感情の波は、とまらなかった
「あ…あ…ああ、あああああ…ああああああああああああああああああああああああ」
泣いた、叫んだ、嘆いた。自分の声が枯れるまで。自分の魂を声に注ぐかのように
何を感じているのかわからない。何を思っているのかわからない。なのに叫びはとまらない
天に向かって叫び続けた。すべてをうけとめながら。受け止めきれない感情に狂いながら
苦しい、苦しい。苦しくて、苦しさが溢れて、溢れて、くるしくて、くるしくて、
『 』
ただただすべてがあふれて、あふれて、とまらなくて。少女はそれをとめる手段は知らない
もう、頭が真っ白になって。その感情の波に身をゆだねようとして
『お姉さん。乗ってく?』
頭の中に、その声は響いた。感情の波が一気に消えた
「あ…ああ……え…?」
『大丈夫かーい?ボク、今そこに向かってるから。待っててよねー?すぐにつくからさ♪』
ガタゴト、ガタゴト
声が聞こえなくなった瞬間、どこからか電車の音がした
音のほうを見ると、空の中を走っている電車がこっちの方へ走ってきていた
轢かれるのか、今から。あの電車に
そう考えて、一瞬死の恐怖がわきあがってきた。・・・だが
「もう、どうだっていいや」
声はもう枯れていた。でも、どうだっていい。あの電車に、轢き殺されて終わるんだ
汽笛の音が響いた。さぁ、終わろう。すべてを、終わらせよう
私はまたあきらめて、目を閉じた
風を感じた
「ねぇねぇ、ボクのお客さん候補のお姉さん。ボクの列車に乗ってく?」
「・・・え?」
電車は私の期待を裏切って、私の横にとまっていた。窓から一人の女の子が顔を出している
いきなり引いた感情の波。空を走る列車。それに乗っている少女
突然起こった数々の出来事に、私は思わず固まっていた
「乗ってくの?乗らないの?」
この電車は、彼女のものなのか。というより、どこへ向かう電車なのか
「お姉さーん?早く決めないと、ボク行くよ?」
そう言われて、ようやっと思考停止が終わった
ずっとここにいるよりかは、乗せてもらった方がいい。それに、いつこの浮遊が終わって、落ちるかわからないし
その思考に至った瞬間、私はすぐに彼女に向かって叫んだ
「え、えっと、の、乗ります!の、乗せてください!!お願いします!!」
私がそういった瞬間、その子ははじけるような笑顔を浮かべた
「本当?!わかった!じゃ早く行こう!早く出発しよう!!」
そして、その子は指を鳴らした