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金魚鉢とわたし  作者: aー
桜色の彼女
32/73

第三十話 さわらぬ神に祟りなし?

 この男にさん付けは嫌。そう思って呼び捨てにすれば笑顔で、

「なんで苗字に戻るんだよ。この際静さまと呼べ」

「いや、それはないよ」

 即答するとしばらく無言が続き、微妙な距離を保ちつつ歩いているとお宮に着き列に並ぶ。お参りを終えると、テントに足を向けた渡瀬についていく。

「ほら、あったまるぞ」

「ありがと」

 甘酒を手渡され、何度か息を吹きかけてから口に含む。

「結構うまいだろ」

「うん」

 外で飲む甘酒は美味しくて、体が温まる。

 焚き火で温まっている人たちを眺めながら飲み終えると、また歩きだした。

「買い物行くぞ。あかりに頼まれたんだ」

「それは逆らえないね」

 何様俺様あかり様に逆らうのは得策ではない。

 私たちは電車で一本先のデパートに向かった。元旦だというのに、お店は開いていた。

「何を買うの?」

「酒を大量に注文された。あと、つまみになりそうなものを」

 さすが、なんて男らしい注文かしら。女だけど。

「なんかさ、いいように使われているね。あんた」

「言うな、泣くぞ」

 それは見たくない。

 二人で大量の酒を買い込んで、重たい荷物はコインロッカーに預けてからウィンドウショッピング。

「おい。まだ買うのか」

 大量の福袋を買い込んで、荷物は全て静に持たせる。

「見て、この服かわいい!」

「はいはい」

福袋が売り切れたお店ではタイムセールを始めたらしい。うんざりしている彼を無視して駆け込む。

「どっちがいいかな? ああっ、あのカバンも可愛い!」

「じゃあそっちのピンクで」

「こっちは? へん?」

「いや、あんたには体系的にちょっと無理が」

 少しでもセクシーな服を選べばこんな言葉が来るので、迷わず腹にパンチをお見舞いしてあげる。

「ぐふっ」

「さ、次へ行きましょう!」

「金魚鉢以上に面倒だ、この女!」

 聞かなかったふりをして歩いた。

 しばらくそうして買い物を楽しむと、帰宅が夜になってしまった。

「すぐに飯作るから、とりあえずその大量の荷物をなんとかしろ」

「はぁい」

 言われたまま荷物を片付けて、ふと気付く。あかりはまだ帰ってないようだ。

「あかり、遅いなぁ」

「今日は遅くなるってメールあったぞ」

 何故私ではなく渡瀬にメールするの、あかりよ。

「彼氏と一緒らしいから大丈夫だろう」

「夕飯には間に合うかな?」

「・・・とりあえず作る。用意しなかったら後でどんな目に合うかわからん」

 あんた、あの子にいったいどういう目にあわされたの。

 物凄く気になったけれどあえて聞かないでおいた。



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