表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金魚鉢とわたし  作者: aー
金魚鉢とわたし
19/73

第十八話 ちょっと怖いんで潤滑材ください。



「今日はどうでしたか?」

 とか、

「明日は来られそうにありませんが、明後日なら都合がつきそうです」

 とか、

「ふふふん、渡瀬くん。ちょっとそこ邪魔ですよ」

 とか、

「あ、この梅昆布茶おいしいですねー」

 とか。

 だんだん横にずれていく話をききながら、また来てくれるんだとぼんやり思った。

 この二人仕事は大丈夫なのかしら?

「そういえば、全国で起こっている連続殺人のニュースはご存知ですか? 知多にいる知り合いが連絡してきたのですが、どうもまだ続きそうですね」

 知多にいるって。八橋さん友達いるんだ・・・

「一応、狙われているのは未成年のようですが、被害者は全員女性ですから透子さんも気をつけてください」

 未成年っていうか、女子高生じゃなかったけ。私はないだろう、いくらなんでも。

 ここ最近ニュースを騒がせるのは、女子高生を狙った連続殺人事件だ。

 被害者は三人。みんな女子高生で、最初は大阪、次は北海道、そして宮崎県とばらばらの場所で起きているにもかかわらず、連続殺人事件として扱われているのは、被害者の遺体に共通点があるからだってテレビで言っていた。

 被害者達に面識は、今のところないとされていて、けれどその身体には共通して両目が抜き取られている。

「大丈夫です。そんなのより今は変質者のほうが怖いし」

 テレビで流れるニュースは、どうも現実感がなくてよくわからない。

 同情はしても一瞬だけ。新しいニュースが流れるたびに、古いニュースは忘れていく。現代人の習性なのかもしれない。

「そうですねえ、変質者・・・」

「金魚鉢に言われると変に現実味があるな」

 また睨み合いをはじめた二人を横目にテレビをつけると、昨日の朝に発見された四番目の被害者の顔写真が映った。まだ、中学生ぐらいにも見える女の子は、今年高校に上がったばかりの素朴な子。場所も、また以前と別の場所だ。

 事件は、約一週間間隔で起こっている。

「犯人はロリコンね、絶対」

 私の言葉に、男達は睨み合いをやめてこちらを向いた。

「どういう理由で?」

「なんで急にそうなる」

 八橋さんは純粋に首をかしげ、渡瀬は訝しげに見てくる。ちょっと、その視線はいくらなんでも不躾というものよ。

「だって、幼い子ばかり狙ってるじゃない。きっと、制服マニアなうえにロリコンなのよ」

 渡瀬が、それは相手が腹立つような深い溜息をついた。

 なによ、本当に感じの悪い人ね。

「そうかもしれませんね。けれど、だとしても、どうしていつも場所が決まらないのか」

 おお、ロリコン説は否定されなかった!

「そんなことは、俺達の知るところじゃない。素人が関わっていいことでもない。あんたは自分のことだけ考えてろよ」

 この人、さっきから口調がぶっきらぼうすぎるわ。

「渡瀬君、女性に対する口の聞き方を学んではいかがですか」

「今は仕事中ではないですから拒否します」

 この二人、絶対仲悪い。




 明後日はって言ったくせに、八橋さんが現れたのはその一週間後だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ