00:「こんな学校、こっちから辞めてやるわ」
二宮酒匂さん主催「二宮杯」参加作品です。
これはいずれ公募に出すので、そのうち消します。
まだまだ全然書けてないですが、自分に発破をかける意味でも投稿しちゃいます。
どうか幼く力のない二人の、それでも息切れしても走る全力な青春劇をお楽しみください。
「もういい」
そう言って、俺は立ち上がる。机の横に置いてあった学生鞄を持ち、肩に乗せる。
「そんなまどろっこしい言い方しなくても、こんな学校、こっちから辞めてやるわ」
「いや、別に私はそんなつもりじゃ……」
目の前で苦渋の表情を作りながら、しかし内心の安堵を隠しきれていない担任が言う
俺は担任の言葉を無視して、さっさと教育指導室のドアを開ける。
「安心しろよ。誰も同級生助けたツケで自主退学させられた、なんて言わねえから。おたくらの評判は落とさねえから」
「まっ、待ってくれ!」
「明日には退学届出しに来るわ。じゃあな、センセ」
それだけ言って、俺は部屋から出る。まったくあくびがでる。なにが一流高校に行けば楽しいことしかねえだよ。勉強しか能のねえ奴らと世間に迎合する奴、肩書に優越感浸る奴や評判しか気にしねえ奴しかいねえじゃねえか。ほんと、クズみたいな奴らだ。
上履きから靴に履きかえる。上履きは持って帰るべきかと思ったが、こんなもの別にいらないのでそこら辺のゴミ箱にぶち込む。
鼻歌を歌いながら校舎を出る。本当に清々した気分だ。もうあんな豚箱みたいな場所にいなくて済むと思った瞬間、こんなにも足が軽い。
歩きながら俺は振り返る。
必死で勉強してこの高校に入ったことを後悔しているか? 答え――ファック。
夜遊びしている時に、不良に絡まれている同級生を助けたことを後悔しているか? 答え――ファック。
俺がぶちのめした不良共が、仲間を引き連れて高校に押し入り、警察沙汰になったことを後悔しているか? 答え――ファック。
その結果、高校側から自主退学を勧められたことを後悔しているか?
答え――ファック。
あくびを一つ。
俺の人生に後悔や迷いは一片もない。
最高の人生だぜ。