9/15
姉の気持ち5
-ガラガラ
俯いた顔を上げようとすると…
「あ、姉貴…」
そこにはいつもと変わらない弟がいた…
よかった…忘れてない…
それからは、他愛もないことを話した。
相変わらず独り身中とか、仕事のこととか、両親のこととか…
だけど…、何か違和感が…
落ち着いてきたところで訊いてみた。
「ねぇ、何で病院にいるのか覚えてる?」
「…わかんない…姉貴は知ってんの?」
「…飛び降りたのよ。ビルの屋上から。」
その瞬間裕介の顔が固まった。
無理もないか…忘れてて、わかんなかったんだもの…
「私も結局裕介が『何で』飛び降りたかはかなわからないわ。
ねぇ、何で飛び降りたりしたの?
裕介、みゆちゃんとデートしたんじゃないの?」
それでも訊いてしまった、彼を混乱させてしまうとわかっていても、抑えきれなかった。
半分はみゆちゃんについて納得する答えが欲しかったから…
半分は思い出して欲しかったから…
だけど、貴方の答えは予想していたどれとも違った。
「『みゆ』って誰?」
その瞬間、私の時間が止まった_