瑠璃色の海
#9
「かーいとッ」
「アオイ・・・」
俺達は二人きりで居酒屋の隅に行った。
「なぁアオイ。。」
「なぁに?」
「俺の学校にな?オマエと同じ「瑠璃」って書いて「アオイ」って読むやついるんだぜ」
「マジ!?この名前アタシだけだと思ってたぁ」
一応主婦であるアオイが「まじ」という言葉を使うのにはすこし抵抗があった。
「あ。。。あぁマジ!」
少しなれない感じでその言葉を使う。
「そうなんだぁ・・・んじゃさぁその子にいってあげて!【もしも名前間違えられたら先生を怒ってやれ】って・・・」
「え・・・?」
「ふふ」
彼女は笑いながらいった
「アタシがずっとやりたかったこと!名前間違えられても怒れなかったから・・・」
「アオイ・・・」
俺は笑いながらそう言った・・・
「ねぇ!アタシカイトにだけいえるかも・・・」
「どうした・・?」
「実はね・・・」
彼女は声をしずかに、ささやいた・・・
「アタシ・・・今バツ一・・・」
バツ一・・・一回離婚・・・いま独身中・・・
「え。。。」
もちろん戸惑った。シアワセの絶頂にいると思ってたから・・・
「ねぇカイト!」
ソレは突然だった
「結婚しよ!!!」
「は?」
聞き返さないわけにはいかない・・・
「結婚・・・・しよ?」
「なんで・・・・」
「アタシ。。。カイトのこと好きだし。。。見ちゃったんだ・・・」
「え・・・・」
思わず「好きだし」と言う言葉より「見ちゃったんだ」という言葉のほうが気になった。
「カイトの・・・鞄・・・」
「え・・・・」
俺は思わず鞄をさぐる・・・
そこには・・・中学校の教科書が・・・・・
ラクガキされた教科書が・・・
「これ見て・・・・」
「いじめ受けてるんでしょ?大人の世界でのいじめ。。。くだらないいじめ。。。子供がやるより幼稚で・・・ショボイいじめ・・・」
「・・・・・・アオイ・・・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜次の日〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は二日酔いだった・・・昨日のアオイにはちゃんと返事をしなかったし・・・
でも俺は学校へ行く・・・
すると!?
【教師LOVEな最悪女です!!!!こいつは!!!】
その文字下にはアンドウアオイの写真が・・・・
こんなような張り紙がいろんなところにされている・・・
その一枚をとって職員室に入ると・・・
「先生・・・」
教頭がはなしかけてきた。
「この【教師】とはあなたのことですね?」
「え・・・・!」
「あなたのことですよね?」
「はい。。。」
キツク聞かれる・・・
「誰がこんなことをやったのかはわかりませんが、少なくともあなたにも責任はあります」
「責任・・・!?でもそれは。。。生徒が。。。」
「関係ありません!原因を作ったのはあなたでもあるのです。どうかお早めにこの学校をやめていただきたい。今日の授業が終ったら考えてみてください。」
「はい。。。」
〜〜〜〜〜〜〜授業〜〜〜〜〜〜〜
「席に座れェェェ」
ガラガラとドアを開けて教室へ入る。
すると。。。みんながアオイのことを慰めている。肩をたたき、女子はアオイを抱きしめ、
男子は。。。。学校の外でチラシ剥がしをしている姿がみられた。
「先生。。。アオイ、今大変な状態なんです。。。授業は・・・」
すると・・・
「大丈夫!」
アオイが立ち上がった。
「アオイ?」
「大丈夫。授業受けられる。犯人はなんとなく分かってる!」
「本当に大丈夫か?」
「はい!」
そうして俺は授業をすることになった。この教室で。
放課後・・・
「先生?」
学校を見回りしている俺にアオイは話しかけてきた。
「先生!」
「どうした?」
少し沈黙ができた。
「アタシ・・・」
「・・・?」
「アタシ・・・やっぱり先生のことが好きです!この前はヒドイこと言ってごめんなさい!」
「どうした?」
「アタシ、、思ったんです。人間、ときにはあります。やる気がなくなるとき、、、先生は先生ですよね?もし先生になった理由があれだとしても、先生は素晴らしい先生です!!!私の好きな、憧れの!憧れの先生です!」
アオイのその言葉に涙が出た。
俺がアオイを好きになったのは、「未愛瑠璃」にアオイが似ていたからだ。名前が。性格は真逆だったりするかもしれない。恋愛にはそんなに興味がなく、別れたこともすぐに言える未愛アオイ。恋愛に興味があり、すぐ傷つく安藤アオイ。でも俺は好きになった。少し似ているところがあったのだ。二人のアオイは・・・涙に魅力がある。二人の涙は、、、瑠璃色の海より美しい。。。
俺は立ち向かわなければならない
いじめに・・・
俺は考えなければならない
未愛アオイとのこと・・・
俺は剥がさなければならない
安藤アオイの中毒チラシを・・・
俺は守らなければならない
安藤アオイを・・・
俺は飛び込まなければいけない
瑠璃色の綺麗な青い海へ・・・