気まぐれ天使の異世界探訪
高級な弾み心地が良いソファに寝転がりながら雲海を眺める。メイドに食事を頼めばローストビーフや海鮮パスタなど望んだ食事が食べられる。天界みたいにやらされる仕事もない
「今日もいい天気だなー」
天使ミカエルは今日も無責任に呟いた
背後から足音がする。硬い靴と床がぶつかることで鳴るコツコツという音がを聞き、ミカエルは少し不機嫌になる。
足音に覚えがあったので、ミカエルはソファの下に滑り込む。扉が開き、
「ミカエル様。今日こそ仕事をしてください。」
天界にもこういう奴はいた。顔で地獄行きに決めたら横から口を挟んで「ちゃんと今世での記録を調べてから決めなさい」とかいう真面目ちゃんだ。メイドのカーシャは主神ファウスの直下にある見習い天使だ。
この攻防は最近に始まった訳ではなく、100年ぐらい続いている。当然こんな隠れ場所は何度も隠れている為
「いましたね。この怠慢天使様?」
見つかると毎回憎まれ口を叩いてくる。こいつはこんなことをして暇なのかと毎回思うが、口に出すと100倍に返されるため、言わない。
「早く支度をしてください」
そう言うとカーシャは手を引っ張り、私をソファから出された。
「それって私がしなきゃダメ?」
「ダメです」
即座に返される。
「言い訳もネタ切れのご様子ですね。支度はこちらで済ませましたので、早く降りましょう。」
腕を掴まられ、引きずられながら廊下を移動する。そしたら、メイド達が待ち構えていた。
やれやれ、人気者は辛いな〜。メイド達が私と離れるのが悲しくてこんなに集まるなんて、これを口実にすれば後10年はいけるな。
そんなことを考えていたら、先頭にいたメイドがこちらに近付いて来た。
「カーシャさん行かないでよぉー。」
は?私じゃなくて真面目なクソ女カーシャに?他のメイドも続けて別れを惜しんでいた。カーシャも若干涙ぐみ、ここにいる者全員が涙していた。
私を除いて
少し流れていた涙を指で拭いとり、
「私も貴方達との別れは大変苦しいです。しかし、私には世界を救う使命があります。世界を救ったら、また一緒に食事をしましょう」
誇らしげにそう告げた。
「では行きましょうか、ミカエル様」
カーシャは腕を掴もうとしたが、空を切った。
「あのクソ天使様は鬼ごっこが好きですねー」
声だけで怒っているのが分かるぐらい冷たかった。
「気絶するまでボコボコにしてあげませんと」
そう言い切ると、カーシャは足を踏み込み、走り出した。




